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「山形ビエンナーレ2022」で砂連尾理さんをアーティストに迎えた市民参加型のダンスプロジェクト「まちのおくゆき」が実施。パフォーマンスやトークイベントなど開催
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7つあるプロジェクトの一つとして「まちのおくゆき」が展開される「山形ビエンナーレ2022」。現役医師である稲葉俊郎さんを新芸術監督に迎え、「山のかたち、いのちの形」と題して 2020年より新たなシリーズが始まった。 前回のオンライン開催を経て、今回は山形市街地を中心にリアル開催される

多様な市民とともにつくりあげるダンスプロジェクト「まちのおくゆき」

2022年9月3日(土)より「みちのおくの芸術祭 山形ビエンナーレ2022」が山形県山形市の市街地で金・土・日・祝日の12日間開催されています。

7つある芸術祭のプロジェクトのうちの一つ「まちのおくゆき」では、振付家/ダンサーの砂連尾理(じゃれお おさむ)さんが多様な市民とともにダンスをつくりあげるプロジェクトを展開。9月10日(土)・11日(日)にはパフォーマンス「さわる/ふれる〜ここにいない人と踊るためのエチュード」が上演されます。

また関連プログラムとして、アフタートークや、出演者・プロジェクト関係者がともに語り合う「てつがくカフェ」、創作のプロセスを紹介する展示なども行われます。

黄緑色の背景。黒塗りされたスペースの真ん中に、白い躍動感あふれる文字で「まちのおくゆき」と書いてある
2020年の山形ビエンナーレから続く、多様性の受容や調和をテーマにしたプロジェクト「まちのおくゆき」。2022年9月10日(土)・11日(日)にはダンスパフォーマンス「さわる/ふれる〜ここにいない人と踊るためのエチュード」が上演されます

「山形ビエンナーレ」とは

「山形ビエンナーレ2022」は、〈東北芸術工科大学〉が主催する芸術祭で、2014年から2年に1度開催されてきました。

5回目を迎える今回は、総合プロデューサー・〈東北芸術工科大学〉学長の中山ダイスケさん、2020年から芸術監督に就任した現役医師の稲葉俊郎さんのもと、「山のかたち、いのちの形《いのちの混沌を越え いのちをつなぐ》」をテーマに「人と人とのつながり」や「心と身体の関係」に焦点を当てます。

芸術やデザインの力を借りながら、あらゆる文脈で「つなぐ」ことに挑戦し、街に住む人や訪れる人が元気になり、街が明るくなるような芸術祭を目指しています。

多様な人たちとともにつくりあげたダンスパフォーマンスを上演

「山形ビエンナーレ2022」の7つあるプロジェクトの一つが「まちのおくゆき」。アイハラケンジさん(アートディレクター/東北芸術工科大学准教授)がキュレーターを務める本企画は、障害のある人の芸術文化活動を支援する〈やまがたアートサポートセンターら・ら・ら〉との共同企画です。

多様性の受容・調和などをテーマに、障害のある人やさまざまな理由で生きづらさを抱える人たちを含む市民が、ダンスパフォーマンスをはじめとしたさまざまな協働を展開。一人ひとりの「ゆたかさ」や「しあわせ」に向き合う福祉の現場とアートをつなぎ、異なる感覚を持つ人々が他者について想像する活動を重ねていきます。

両手と、足の間を黒い線でかたどったようなグラフィックの右上に、青字で「まちのおくゆき」と入っている
「まちのおくゆき」プロジェクト参加者の身体の形を定着させた、2022年版のタイトルグラフィック(デザイン:吉田勝信、アートワーク:瀬尾明代、菊地将晃)
右側に窓。窓辺に人が座っている。左側に窓に向かって一列にならぶ人たちは、窓にむかって歩いているように見える
「まちのおくゆき ─からだのひろがりダンスワークショップ」の様子(撮影:三浦晴子)

本プロジェクトの中心となるのは、9月10日(土)・11日(日)に上演されるダンスパフォーマンス「さわる/ふれる〜ここにいない人と踊るためのエチュード」です。

2022年6〜8月にかけて、振付家/ダンサーの砂連尾理さんを講師に迎え、多様な市民を対象にしたダンスワークショップや、山形県内各地の福祉事業所への訪問やオンラインでのワークショップを実施してきました。

ワークショップのテーマの一つは、多様な人たちとの関わり合い方を身体の表現で伝えること。そしてもう一つは、ここにいない人やここにないものを想像し表現する「メディアとしての身体」の可能性です。

右側に分身ロボットOriHime。左側で地面に座っている女性は、両手を広げ、ロボットに向けて語りかけているようだ
「まちのおくゆき ─からだのひろがりダンスワークショップ」の様子(撮影:三浦晴子)

さまざまな理由から対面でのコミュニケーションが難しい現代社会で、身体を使い感じることや表現することを軸に、人と人が出会い関係していくことや、その中で生じる困難さを受け入れ、それぞれの「さわる/ふれる」を探し実践してきました。そうした経験の中で紡ぎ出された表現が、ダンスパフォーマンスとして上演されます。

トーク、展示、上映会なども実施

「まちのおくゆき」では関連プログラムとして、9月11日(日)に砂連尾さん、美学者の伊藤亜紗さん、分身ロボットOriHimeパイロットのさえさんらが語り合うアフタートークを開催。伊藤さんは砂連尾さんとともに分身ロボットOriHimeを通した共同研究を続けており、今回のプロジェクトでもOriHimeパイロットさえさんとともに、山形県の福祉事業所を訪問しました。

9月18日(日)にはプロジェクトの市民参加者や福祉事業所関係者、制作スタッフ、鑑賞者らが集まり、「想像力」をテーマに「てつがくカフェ」形式で語り合います。どちらもYouTubeライブによる配信が予定されています。

9月24日(土)には、「映画をみて語り合う『てつがくカフェ』」も開催。上映するのは、障害のある人の表現活動の可能性を探ったドキュメンタリー映画『へんしんっ!』(監督:石田智哉、2021年)。キャストとして砂連尾さんも登場する本作品は、多様な違いに触れて変化する心と身体を描いています。

さらに、これまでの活動のプロセスの記録映像や参加者へのインタビュー映像を〈やまがたクリエイティブシティセンターQ1〉で公開。また、障害のある人たちの表現(=きざし)とそれに寄り添う「まなざし」に焦点をあて、言葉と写真で紹介する展示「きざしとまなざし2022 企画展『さわる/ふれる〜共振するからだ〜』」を〈ぎゃらりーら・ら・ら〉で開催します。

地面の上に座り、砂連尾さんと伊藤さんは、OriHimeを見て会話している
左から砂連尾理さん、伊藤亜紗さん、OriHimeパイロットのさえさん(撮影:三浦晴子)

「山形ビエンナーレ2022」は、「まちのおくゆき」を含む7つのプロジェクトが展開されます。プログラムの一部は、会期中に視聴可能なオンラインプログラムやメディアミックスプログラムも予定。ぜひ公式Webサイトから詳細をチェックしてみてください。