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アート活動から仕事づくりまで、〈たんぽぽの家〉50年を振り返る。2023年2月4日から大博覧会が開催
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薄水色の背景に、黄色や緑の楕円が多数配置されたデザインの上に文字がのっている、チラシの表
「たんぽぽの家 大博覧会」が2月4日〜12日まで〈奈良県文化会館〉で開催されます

50年の歩みを振り返る展覧会とシンポジウムが開催

「アート」と「ケア」の視点から多彩なプロジェクトを実施している〈一般財団法人たんぽぽの家〉。その50年の歩みを振り返る展覧会「たんぽぽの家 大博覧会」が2023年2月4日(土)から12日(日)まで、奈良県奈良市で開催されます。

障害のある人のアート活動から仕事づくりまで、〈たんぽぽの家〉が行う活動の歴史を資料とともに振り返る本展覧会。会期中は6日(休館日)以外連日、さまざまなトークイベントやワークショップなども開かれます。

また2月5日(日)には、「アートは進化、深化する」をテーマに〈たんぽぽの家〉の播磨靖夫さん、〈認定NPO法人クリエイティブサポートレッツ〉の久保田翠さん、〈四国こどもとおとなの医療センター〉の森合音さん、〈やまなみ工房〉の山下完和さんが登壇するシンポジウムも行われます。

障害のある人たちの生きる場をつくってきた〈たんぽぽの家〉

〈たんぽぽの家〉は、1973年に障害のある人の拠点をつくろうと立ち上がった「たんぽぽの家づくり運動」を機に始まり、今年50周年を迎えます。

「アート」と「ケア」の視点で活動を続け、1995年からは障害のある人のアートの可能性を捉え直す「エイブル・アート・ムーブメント」を展開。2004年には日本初の、障害のある人の総合的なアートセンター〈たんぽぽの家アートセンターHANA〉を開設しました。

近年その活動は、仕事づくりにまで及んでいます。2012年には、障害のある人とともに、アート・デザイン・ビジネスの分野を超えた仕事を社会に提案する「Good Job! プロジェクト」がスタート。2016年には、プロジェクトの実験・実践の拠点となる〈Good Job! センター香芝〉(奈良県香芝市)を開設し、多様な仕事が生まれています。

たくさんの人がセンター内に集まっている集合写真
企業やデザイナーとのさまざまな連携が生まれている〈Good Job! センター香芝〉にて

50年の歴史を振り返る「たんぽぽの家 大博覧会」

福祉とアートの領域で常に先駆的な取り組みをしてきた〈たんぽぽの家〉。2月4日(土)から〈奈良県文化会館〉で開催される「たんぽぽの家 大博覧会」では、その歴史を50の「キーワード」で、貴重な資料とともに振り返ります。

1979年に発行された、通信「たんぽぽ」。たんぽぽの家の、着工記念特集号となっている
展示キーワード「たんぽぽを広め、記録する」

例えば、〈たんぽぽの家〉を知ってもらうために、活動がスタートした当初から欠かさず発行してきたという通信「たんぽぽ」。共感の輪を広げ、資金を集める媒体としての発行物からは、当時込められた熱い思いが伝わってきます。

大きな窓を背景に、たんぽぽの家に関わる人たちが並んでいる集合写真
展示キーワード「念願のたんぽぽの家完成」

1980年に完成した拠点〈たんぽぽの家〉の写真には、ボランティアやさまざまな立場の人が写っています。地域の人々と一緒に学び合うワークセンターとして、いきいきとした活動が行われました。

ほかにも、言語障害のある人が舞台で自分史や民話を語る「わたぼうし語り部」や、全国に広がった「わたぼうしコンサート」など、活動の多様さを感じさせる資料がたくさん展示されます。

赤い背景黒い絵の具で描かれた作品が真ん中に配置された、フェスティバルのチラシ画像
展示キーワード「芸術の社会化・社会の芸術化〜エイブル・アート・ムーブメント始動」。大阪で行われた「エイブル・アート・フェスティバル’95」には、5000人以上が来場し、その後さまざまなプロジェクトや人材育成のワークショップなどにもつながりました
学校の教室のような場所。机の上に、「薬の殻」が大量に入ったビニール袋が、山のように積まれている
展示キーワード「だれもが表現者〜たんぽぽの家アートセンターHANA」。「だれもが表現者」をキーワードに、さまざまな企画や展示を行っています。写真は、〈たんぽぽの家〉のアーティストのひとり、伊藤樹里さんによる作品「薬の殻」

福祉とアートの現場で実践を重ねる3人をゲストに迎えたシンポジウム

2月5日(日)には、展示会場からほど近くの〈奈良公園バスターミナル〉レクチャーホールにて、「人間にとってアートとは何か」をテーマにしたシンポジウムが開催されます。

ゲストとして登壇するのは、〈認定NPO法人クリエイティブサポートレッツ〉理事長の久保田翠さん、〈四国こどもとおとなの医療センター〉ホスピタルアートディレクターで〈NPO法人アーツプロジェクト〉理事長の森合音さん、〈やまなみ工房〉施設長の山下完和さん。それぞれの現場で「人間にとってアートとは何か」に取り組む3人の方と、〈たんぽぽの家〉理事長の播磨靖夫さんが、アート活動の実践や思いを語ります。

テーマや開催情報が書かれたシンポジウムのチラシ

シンポジウムの他にも、会期中は連日、トークイベントやワークショップなどが会場内で多数企画されています。

“みなさまとたんぽぽの家の50年を振り返り、今大切にしたいことを共有し、未来の物語をつくっていく場にしたいと考えています。”
(〈たんぽぽの家〉より)

時代の先を行く取り組みを展開してきた〈たんぽぽの家〉の歴史は、日本における「障害のある人とアートの歴史」の大事な側面を担ってきたということもできそうです。ぜひ展示やイベントに足を運び、「アート」と「ケア」の今とこれからをともに考えてみませんか。