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ろう者と聴者が語り合うための『アートを通して考える4』。2023年2月-3月に手話の批評ワークショップとトークを開催
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批評ワークショップとトークセッションから成るプログラム

ろう者がアートに対する思考を深め、ろう者と聴者が共に語り合うためのプログラム『アートを通して考える4』が2023年2月から3月にかけて開催されます。手話で語るろう者のための批評ワークショップ(全4回)とろう者と聴者のためのトークセッション(全2回)の二部構成のプログラムです。

プログラム全体のモデレーターは『アートを通して考える3』に引き続き、キュレーター・プロデューサーとして活動する田中みゆきさん。企画・進行は、ろう者でプロジェクトマネージャーの管野奈津美さんとグラフィックデザイナーの徳江サダシさんです。

左から、田中みゆきさん、管野奈津美さん、徳江サダシさん

『アートを通して考える』を主催しているのは、ろう者・難聴者の表現育成の場として生まれた〈育成×手話×芸術プロジェクト〉。文化庁の「障害者等による文化芸術活動推進事業」の一環として実施されています。運営は、小説『窓際のトットちゃん(著者:黒柳徹子 / 講談社)』の著作権受領によって設立された、〈社会福祉法人トット基金〉。「日本ろう者劇団」を運営するほか、手話教室の運営など行っています。

〈育成×手話×芸術プロジェクト〉では、芸術活動を通して、多くのろう者・難聴者がさらに学びを深められるよう、さまざまな分野で活躍している人たちとの協働を進めていくとともに、ろう者当事者から創発する芸術をより育てていくことを目的に活動しています。演劇・美術・映画の各分野の実践者とともにさまざまなワークショップ、作品制作、海外の芸術祭の視察などを実施してきました。

4回目の開催では、ろう文化の「不可視の領域」に踏み込む

『アートを通して考える』の過去3回の開催では言語や文化、身体の境界を超えて多角的な議論を交わし、一人ひとりが持つ「ろう」であることの複雑さ、ろう者の中にもある多様性、多層化をトークセッションを通して考えてきました

『アートを通して考える3』の紹介記事はこちら

『アートを通して考える4』では、ろう文化の「不可視の領域」にさらに踏み込む形で、さまざまな身体と空間を通して浮かび上がる、文化や言語により形成されゆく見えない領域を探求し考察します。

手話で行う批評ワークショップ

「手話で語るろう者のための批評ワークショップ」(全4回)は、2021年に開催し、好評だった「ろう者のための美術鑑賞ワークショップ」をステップアップしたものです。ろう者・難聴者当事者が、ろう者や手話をテーマとした作品への批評の施行をはぐくむ批評ワークショップとして実施されます。

第1回は『批評とは何か?』の著者で文学ムック「ことばと」の編集長でもある佐々木敦さんを講師に迎え「批評」とは何かを考え、作品を批評するポイントや作品に対する自分の思考を深める方法などについて学びます。

佐々木敦さんをはじめとした3人の講師と作るプログラム

第2回ではろう者のテッド・エヴァンス監督『彼について』を題材に、ろう者である画家の佐藤譲二さんを講師に迎え、ろう者としての視点から、実践を通して批評を学びます。

第3回と第4回では、飯山由貴監督『オールドロングステイ』を視聴した後、批評を実践。その後に飯山監督からの解説を聞き、批評を各自ブラッシュアップします。その後に佐々木敦さんと佐藤譲二さんからフィードバックを受けて「思考を言語化する力」を高めます。

ワークショップの対象は高校生以上のろう​者・難聴者10名で、定員以上の応募があった場合は抽選になります。申し込み締め切りは2023年2月19日(日)です。

ろう者と聴者のためのトークセッション

ろう者と聴者が共に参加可能なプログラムとして、トークセッションも開催されます。2023年2月25日(土)のトークセッション「伝統芸能とろう者の身体性」と、2023年3月25日(土)のトークセッション「ろう者の身体と空間デザイン」です。

「伝統芸能とろう者の身体性」では、長年手話狂言に取り組まれている江副悟史さん、能楽師で日本人の身体性を研究されている安田登さんが登壇し、手話狂言の取り組みを通して、日本人特有の身体性や古典の動作、ろう者と聴者の身体感覚の違いなどについて語り合い、不可視の領域に迫っていきます。(※登壇を予定していた米内山明宏さんが逝去されたため、江副悟史さんと安田登さんのお二人での実施に変更になりました)

「ろう者の身体と空間デザイン」に登壇するのは、ろう者のための空間デザイン・デフペースデザインを研究されている福島愛未さん、等身大の身体を起点に内と外の境界線を乗り越えた建築のあり方を模索されてきた建築家の中川エリカさん。身体的思考から空間を創ることとは何か、そして聞こえない身体と空間の関係性を探っていきます。

「ろう者と聴者のためのトークセッション」では、手話通訳とUDトークによる文字支援がつきます。ろう演劇に興味のある方、ろう者の身体感覚や空間との関係に興味のある方など、ぜひこの機会にご参加ください。