福祉をたずねるクリエイティブマガジン〈こここ〉

健康で文化的な最低限度の生活ってなんだろう?

健康で文化的な最低限度の生活ってなんだろう?

日本国憲法第25条で保障されているはずの私たちの権利「健康で文化的な最低限度の生活」。それをキーワードに、さまざまな場所や人をたずねる連載シリーズです。

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vol.032023.08.07権利を主張することは「わがまま」ではない。国際人権法の専門家・藤田早苗さんに聞く「人権」について

人権という言葉は、私たちにとってとても身近なものだ。この頃では、良くも悪くも「人権」がある種のミームとしてインターネット上や日常会話の中で使われることが増えてきたこともあり、言葉自体に耳なじみがない人はほとんどいないのではないかと思う。 けれど「人権ってなに?」と聞かれると、どう説明してよいものか悩んでしまう。生きるために必要な権利ということは知っている。でもそれが具体的にどのようなものなのか、その権利があることで自分たちの暮らしがどのように守られているのか、本来守られるべきなのに、そうなっていないものはなんなのかは、知らない人がまだまだ多いのではないだろうか。 人権とはどのようなものなのか。そして、人権が法的に定められていることが私たちにどのような影響をもたらしているのか。そんなストレートな疑問を、国際人権法の専門家であり、『武器としての国際人権ー日本の貧困、報道、差別』(集英社新書2022年)などの著作がある藤田早苗さんに、あらためてお聞きしてみる。

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vol.022022.08.17健康で文化的な最低限度の生活ってなんだろう? 稲葉剛さんに聞く「住まいの貧困」問題

健康で文化的な最低限度の生活ってなんだろう? 日本国憲法第25条で保障されているはずの私たちの権利「健康で文化的な最低限度の生活」。それをキーワードに、さまざまな場所や人をたずねる連載シリーズ。 今回お話を伺ったのは、一般社団法人つくろい東京ファンド代表理事・認定NPO法人ビッグイシュー基金共同代表を務める稲葉剛さん。 長年、路上生活者や生活困窮者の支援に携わり、住まいの貧困や居住福祉に関する取り組みを続けている稲葉さんは取材の冒頭でこう伝えてくれた。 「この2年間はコロナ禍での活動を余儀なくされるなかで、生活困窮の相談者も非常に急増し、対応に追われています。困窮した方々への支援で頭がいっぱいになっていて。現場の活動報告はできるのですが、困窮した状態にない人に対して積極的に理解を求めるという視点での話は、いまはちょっとしんどいと思うところがあります。 先日、あるマスメディアから取材を受けて、モヤモヤしたことがありました。『どういう方が支援窓口へ相談に来ているのか?』と質問されて具体的に答えたのですが、『もっと一般の人が共感できるような話はないんですか』と言われて。共感しやすさに合わせて話をするのもどうなんだろうという気持ちが、正直あるんです」 この言葉を聞いて、私ははっとした。この取材を依頼するにあたって私達取材チームも同様の振る舞いをしていなかったか。 「できるだけ多くの人に記事を読んでもらうため」という建前のもと、問題の最中にいる人や支援者が置かれている具体的な状況を都合よく矮小化・均質化しようとしていなかったか。共感できないもの・自身に近いと思えないものは、価値がないと無意識に判断していなかったか。メディアに関わる一人として、これまでの姿勢を顧みつつ稲葉さんの話を伺った。 ※この取材は2022年3月下旬リモートにて、行いました。 (編集部 垣花)

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vol.012022.07.06健康で文化的な最低限度の生活ってなんだろう? クリエイティブサポートレッツ・久保田翠さんをたずねて

「健康で文化的な最低限度の生活」。 日本国憲法第25条「生存権」で保障されているはずの私たちの権利をキーワードに、福祉にまつわるさまざまな視点から「健康で文化的な最低限度の生活」とは何かをたずねてまわる連載シリーズ。今回お話を伺ったのはNPO法人クリエイティブサポートレッツ(以下、レッツ)の代表・久保田翠さん。 知的障害と強度行動障害がある息子・壮(たけし)さんが、「文化的で豊かな人生を送ることの出来る場所を作ろう」と、自ら団体を立ち上げ、アートと福祉を融合させたイベントや企画の数々を実施してきた。久保田さんにとって「健康で文化的な最低限度の生活」は、どのような姿かたちをしているのだろうか。 編集部は「たけし文化センター連尺町」「たけし文化センターのヴぁ公民館」をたずねた後、久保田さんに話を伺った。

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