福祉をたずねるクリエイティブマガジン〈こここ〉

【写真】スクリーンに「みらいのふくししせつ建築ミーティング」の文字が投影されている。その前に4名の登壇者が椅子に座っている【写真】スクリーンに「みらいのふくししせつ建築ミーティング」の文字が投影されている。その前に4名の登壇者が椅子に座っている

「みらいの福祉施設建築ミーティング」開催レポート こここレポート vol.04

Sponsored by 日本財団 みらいの福祉施設建築プロジェクト

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日本財団の助成プログラム「第3回 日本財団 みらいの福祉施設建築プロジェクト」実施に合わせ、「みらいの福祉施設建築ミーティング」が行われました。リアルイベント(2023年6月24日実施・オンライン併用)とオンラインイベント(2023年7月7日・14日・20日実施)を連続開催したこのイベントは、福祉に関わる専門家やクリエイターと協働し、さまざまな課題に向き合う「こここラボ」が企画運営サポートを務めました。

リアルイベント「みらいの福祉施設建築フォーラム」

2023年6月24日、渋谷キューズ スクランブルホールで開催された「みらいの福祉施設建築フォーラム」では、福祉の専門家と建築家が登壇する3つのパネルディスカッションが行われました。福祉施設と建築デザインの連携について、実践を積み重ねているゲストの貴重なお話を伺いました。

助成プログラムへ応募を検討する方をはじめ、これからの福祉施設のあり方、設計、運営に興味関心を持たれている福祉事業者や設計関係者が来場し、会場参加者は127名、オンラインでは339名の参加がありました。

【写真】100名前後が椅子に座り、パネルディスカッションを眺めている

また、会場内には交流スペースを設置。建築家が出展する9つの展示ブースもあり、休憩時間には参加者の多くがブースのまわりに集まって模型や資料を見ながら設計事例の説明を聞くなど活発にやりとりする様子が見られました。

【写真】建築9つの展示ブースに模型や資料が展示されている
【写真】ブースを眺める参加者

福祉の専門家と建築家による3つのパネルディスカッション

みらいの福祉施設建築フォーラム
【パネルディスカッション1】設計者立場と事業者立場から考える福祉施設設計のプロセス
・ファシリテーター:森下静香(社会福祉法人わたぼうしの会 Good Job!センター香芝 センター長)
・ゲスト:栃澤麻利(株式会社SALHAUS共同代表・建築家)、長谷川駿(JAMZA一級建築士事務所 共同代表)、小久保佳彦(社会福祉法人 聖救主福祉会 深川愛の園施 施設長)

【パネルディスカッション2】福祉施設の「前提」を疑い、よりよい支援を行う福祉のあり方
・ファシリテーター:当新卓也(PwCコンサルティング合同会社)
・ゲスト:堂園春衣(株式会社THEM NAGAYA TOWER 事務局)、菅原健介(株式会社ぐるんとびー代表取締役・理学療法士)、深山直樹(みんなの家タブノキ 代表)

【パネルディスカッション3】みらいの福祉施設をどのように実現するか
・ファシリテーター:福田光稀(公益財団法人日本財団 公益事業部国内事業開発チーム)
・ゲスト:成瀬友梨(成瀬・猪熊建築設計事務所 代表取締役・建築家)、橋本達昌(社会福祉法人越前自立支援協会 常務理事 兼 事務局長)、藤原徹平(横浜国立大学准教授・フジワラテッペイアーキテクツラボ 主宰・建築家)

【写真】パネルディスカッションの様子。右からもりしたさん、とちざわさん、はせがわさん、こくぼさんが座っている

パネルディスカッション1では、一昨年度の採択事例をもとに、福祉の専門家と建築の専門家が協働しながら福祉施設を形づくっていく方法と意義、現場でのリアルな状況などについて、採択事業者と審査員の両方からお話を伺いました。

※パネルディスカッション1の内容はこちらの記事でご覧ください。

【写真】パネルディスカッションの様子。右からとうしんさん、どうぞのさん、すがはらさん、みやまさん

パネルディスカッション2では、これからの福祉施設づくりにあたり、ソフトとハード両面の “制度”に沿いつつも、その前提やあり方を問い直すことの重要性について話を伺いました。“福祉”とはなんなのか、ゲストそれぞれの具体的な実践から議論がなされました。

※パネルディスカッション2の内容はこちらの記事でご覧ください。

【写真】パネルディスカッションの様子。右からふくださん、ふじわらさん、はしもとさん、なるせさん

パネルディスカッション3では、2021年から開始した助成プログラム「日本財団みらいの福祉施設建築プロジェクト」のこれまでを踏まえ、審査にあたり大切にしている視点について審査委員経験者から率直な意見を伺いました。

※パネルディスカッション3の内容はこちらの記事でご覧ください。

フォーラムの最後には、日本財団より「みらいの福祉施設建築プロジェクト説明会」が行われました。助成プロジェクト募集概要に則り、申請にあたって考慮すべき点や注意点などの解説がありました。

【写真】スクリーンに、申請にあたってのポイントが投影されている
3回のディスカッションと説明会では、会場の参加者やオンライン参加者からの質問が数多く寄せられました
フォーラム終了後には交流会も開催

オンラインイベント「みらいの福祉施設建築スタディ」

平日夜にオンライン開催した「みらいの福祉施設建築スタディ」は全3回シリーズで行われました。福祉と建築に関わる個別のテーマをとりあげて、みらいの福祉施のデザインや運営に取り組む実践者の方々のお話を伺い、より具体的なヒントや気づきが得られる時間となりました。

みらいの福祉施設建築スタディ
【DAY1】大規模特養のゆくえと、これからの特養の設計
・開催日:2023年7月7日(金)17:30-19:30
・ファシリテーター:福田光稀(公益財団法人日本財団 公益事業部国内事業開発チーム)
・ゲスト:篠崎一弘(社会福祉法人丹緑会 統括施設長)、舩越芳之(社会福祉法人長岡福祉協会 高齢者総合ケアセンターこぶし園 総合施設長)、翠川昌博(社会福祉法人みまき福祉会 常務理事)
・視聴者数:246

【DAY2】「ひらくこと」と「暮らすこと」を同時に満たす―ケアを必要とする人の空間と地域への開放性
・開催日:7月14日(金)17:30-19:30
・ファシリテーター:大谷匠(医療法人医王寺会 地域未来企画室 部長/任意団体 福祉と建築 代表)
・ゲスト:佐藤由巳子(認定NPO法人マギーズ東京)、安永周平(社会福祉法人福岡ひかり福祉会 特別養護老人ホームよりあいの森 施設長)、櫛田啓(社会福祉法人みねやま福祉会 てらす峰夢 施設長)
・視聴者数:228

【DAY3】多世代交流を促進する複合施設の計画方法―まちをつくる福祉施設
・開催日:7月20日(木)17:30-19:30
・ファシリテーター:馬場未織(NPO法人南房総リパブリック理事長 neighbor共同代表)
・ゲスト:福井大輔(株式会社未来企画 代表取締役)、田中伸弥(社会福祉法人ライフの学校 理事長)
・視聴者数:199

スタディDAY1のテーマは「大規模特養のゆくえと、これからの特養の設計」。90年代以前に建てられてきた施設が老朽化しつつある現在、建て替えか、はたまた改修かと悩みを抱える事業者も少なくありません。そこで、数十年前の建設当初から時代に合わせて、独自の、時に大胆な進化を遂げてきた施設の変化を丁寧に辿りながら、そのプロセスにおける考えを共有していただきました。

DAY1の内容はこちらの動画でご覧ください。

スタディDAY2のテーマは「『ひらくこと』と『暮らすこと』を同時に満たす―ケアを必要とする人の空間と地域への開放性」。福祉施設は生活の場であるため、プライバシーを守るためにケアが閉じてしまいがちですが、福祉を地域の人々から遠ざけてしまうことは避けなければなりません。暮らしを守りながら、地域にひらかれた安心できる場所をソフト・ハードの両面からどうつくっていけばいいか、登壇者の方々が奮闘してきた足跡を教えていただきました。

DAY2の内容はこちらの動画でご覧ください。

スタディDAY3のテーマは「多世代交流を促進する複合施設の計画方法―まちをつくる福祉施設」。高齢者施設と地域住民の利用の場を併用したり、高齢者施設で障害のある人が働いたり保育園児もそこに遊びに行く等、多様なサービスを複合したり併設したりすることによって、福祉施設が多世代の交流の場としてひらかれていく事例があります。話題の施設はどのようにそれらを実現しているのか、その手法や事業者の考えなどを聞かせていただきました。

DAY3の内容はこちらの動画でご覧ください。

フォーラム、スタディと連続開催された「みらいの福祉施設建築ミーティング」。リアルタイムでの参加が叶わなかった方々は、報告記事やアーカイブ配信をご覧いただけます。地域にひらかれ、地域社会に貢献し、地域社会から愛され、地域福祉の拠点となる福祉施設づくりへの建築助成「みらいの福祉施設建築プロジェクト」は2023年9月15日まで募集中。申請をご検討する際の参考にしていただき、またこれからの福祉のあり方を考える一助としていただければと思います。


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連載:こここレポート