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人生の「答え」は見つからないけれど「問い」は見つかるはず。〈クリエイティブサポートレッツ〉主催の観光事業「タイムトラベル100時間ツアー」開催
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障害福祉施設アルス・ノヴァの利用者
「タイムトラベル100時間ツアー」の訪問先は、静岡県浜松市にある〈たけし文化センター〉やその中にある〈障害福祉施設アルス・ノヴァ〉

まるで異文化体験!?「タイムトラベル100時間ツアー」

「観光」と聞くと、どんなことをイメージしますか?

観光は「光を観る」と書きます。いまは観光をしかける側が、必死になって「事」 や「物」を光らせようと努力します。「お・も・て・な・し」に必死になる。でも、 ほんとうは光は「観る側」が見つけるものです。
(「タイムトラベル100時間ツアー」リーフレット掲載「光を、観る。」より)

と、「タイムトラベル100時間ツアー」アドバイザーであり、社会実験者の睦奥賢さんは語ります。

「障害福祉施設に、ふらっと観光しにきませんか?」そんな誘い文句で、観光事業「タイムトラベル100時間ツアー」を主催するのは、静岡県浜松市を拠点に活動する〈認定NPO法人クリエイティブサポートレッツ(以下、レッツ)〉です。

日々、様々な人が行き交うこの場所では、社会の中では当たり前のことが、当たり前ではなくなることがあります。(レッツ)

自分にとっての当たり前が当たり前ではない。それは日本にいて、日本語を話しながらも、まるで異文化体験のようです。そんな「タイムトラベル100時間ツアー」は、コロナ禍により受け入れを休止していましたが、2022年4月より再開されました。日帰りまたは1泊2日から体験希望者を募集しています。

人生の「答え」はないが「問い」は見つかる「タイムトラベル100時間ツアー」

2016年から〈レッツ〉は、個人の生活文化に根ざした活動「表現未満、」の一環として、観光事業「タイムトラベル100時間ツアー」を開始。障害福祉施設への観光を呼びかけてきました。ツアーは日帰り、または1泊2日。いつ驚きや発見に満ちた出来事に出会うかわからないため、累計100時間の体験を推奨しています。

観光場所となるのは、浜松の街中に位置し、図書コーナー、音楽スタジオ、シェアハウス、ゲストハウスなどを備えた複合施設〈たけし文化センター〉。その中に入っている〈障害福祉施設アルス・ノヴァ〉は、生活介護・就労継続支援B型・放課後等デイサービス・日中一時支援事業を運営しています。

2017年に制作されたツアープロモーションビデオ。〈たけし文化センター〉設立前の観光の様子です。監督・撮影・編集は、映画監督/映像ディレクターの佐々木誠さんがつとめています。

人生の「答え」はありませんが、「問い」は見つかるはず。
そう書かれた「タイムトラベル100時間ツアー」のパンフレットを参考に、1泊2日の場合のツアーの流れを見ていきましょう!

リーフレット
「タイムトラベル100時間ツアー」の流れを紹介したリーフレット。滞在1時間ごとにスタンプを1 個もらえます

会場に到着した参加者は、まずガイダンスを受けます。そこで旅のしおりが手渡され、ツアー中のスケジュールや過ごし方についてレクチャーを受けます。

ガイダンスが終われば、あとは好きなように過ごしてよし。スタッフや利用者と話をしたり、一緒に演奏をしたり。散歩に出ても、昼寝をしても大丈夫です。夕食を食べた後は、宿泊先へ。〈たけし文化センター〉3Fのゲストハウスに泊まることも可能です。

2日目も好きなように過ごします。突如として利用者による「爆音セッション」が始まったり、利用者から似顔絵や詩などのプレゼントがあったりするかもしれません。最後に、スタッフと共に2日間の振り返りをして、ツアーは終了です。

妄想恋愛詩人ムラキングさん
こここでも連載をもつ妄想恋愛詩人ムラキングさんが、参加者に詩作をする様子

〈認定NPO法人クリエイティブサポートレッツ〉の取り組み

「タイムトラベル100時間ツアー」を主催する〈レッツ〉は、2000年に設立し、2004年に法人化した組織です。社会の「あたりまえ」なんておかまいなしに、「あるがまま」でいることを貫き通すことをテーマに、人間が本来もっている「生きる力」「自分を表現する力」を見つめていく場を提供し、さまざまな表現活動を実現するための事業を展開しています。

これまで、障害のある人もない人もさまざまな人が利用できる私設公民館〈のゔぁ公民館〉(2014年〜)や、重度の知的障害のある人のやりたいことをサポートする公共文化施設〈たけし文化センター 連尺町〉(2018年〜)の運営など、アートと福祉を掛け合わせながら、障害・国籍・性差・年齢を超えたつながりを育む場所づくりを行ってきました。

ツアー参加者のさまざまな声

「タイムトラベル100時間ツアー」には過去168名が参加し、このような声が寄せられています。

思ったよりまったり居心地良く過ごせました。“目玉”になるようなエキセントリックな人に会えるということより、毎日色んなことがおきながらも各々がゆったりと過ごす日常の中に身を置けて良かったです。障害のある人って面白いとかすごいとかではなく、みんなそれぞれ楽しいこととか、こだわりが違ったり強さが違うだけなんだなと思いました。(参加者の声/Nさん)

「音遊び」という場面があった。そこにある楽器で、利用者さんもスタッフさんも私たちも思い思いに音を鳴らす。奏でる、という一般的な動詞はたぶん当てはめられない。

ふとした瞬間にそれが始まったとき、鼓膜が破れる!と思ったのは思った(ドラムの前に座ってたので笑)、けれどこの音の渦がどこまで大きくなれるのか見ていたいと同時に思った。気がつくと、私も加勢したくなってスティールパンを夢中で叩いていた。

誰も、誰かに合わせようとして音を出していない。あくまで個人個人が好き勝手に音を出していて、ノイズだと言われればきっとそうだと思う。でも、私はそれがうんと心地よかった。
誰かに合わせなきゃ、と日々疲弊していた私に、その爆音はむしろ優しく、そこは全てを受け入れてくれる空間だった。(参加者の声/A.Oさん)

とても居心地良く過ごせました。実家に帰ってきたようでした。手仕事を持って来て、のんびり手仕事をしながら過ごしたいです。(参加者の声/Yさん)
お出迎え
〈アルス・ノヴァ〉の利用者が参加者を駅でお出迎え

ゆったりした時間に癒される人、自己理解を深める人、社会に疑問を抱く人など、ツアーに参加することによって見えるものは人それぞれ。

もし、今、日常にモヤモヤや疑問を抱えているのなら、「タイムトラベル100時間ツアー」に参加しませんか。異文化体験によって新たな出会いや気づきがあるかもしれません。