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“身体表現の翻訳”をテーマに新たなアクセシビリティに挑戦するTHEATRE for ALL Festival「TRANSLATION for ALL」5月〜6月東京とオンラインにて開催!
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イベントのキービジュアル

“バリアを乗り越えてどう届けるか”。新たなアクセシビリティを模索するフェスティバル

「身体表現の翻訳」をテーマに、新たなアクセシビリティに挑戦する実験的フェスティバルTHEATRE for ALL Festival「TRANSLATION for ALL」が5月から6月にかけて開催されます。リアル公演やワークショップなどが東京の各会場で行われるほか、オンライン配信を含めた8作品が披露されます。

〈THEATRE for ALL〉とは

このイベントを主催するのは、バリアフリー動画配信サービス〈THEATRE for ALL〉を運営する〈株式会社precog〉。「だれでも、いつでも、どこからでも。バリアフリーなオンライン劇場」を掲げ、2021年2月よりウェブサイト上でサービスを開始。障害や疾患、育児や介護中で劇場に行きにくい人、日本語が母語ではない人なども含め、誰もが楽しめる“開かれた劇場”を目指して「バリアフリー字幕」や「音声ガイド」などに対応した演劇・ダンス・映画・メディア芸術などの映像コンテンツを、これまでに約150種制作・配信してきました。

コンテンツを作る過程では、障害のある人や支援団体へリサーチやインタビューを実施。そのうえで作品ごとにアーティストや制作会社と相談しながら、それぞれの作品にマッチするアクセシビリティの形を検討し、標準的なバリアフリーだけでない「作家オリジナルのバリアフリー」を模索してきました。

AIがパフォーマンスをその場で言語化することによる、視覚障害者への鑑賞サポートの可能性を探る作品。〈 contact Gonzo〉 × 〈やんツー〉「jactynogg zontaanaco ジャkuティー乃愚・存taアkoコ」

今回の「TRANSLATION for ALL」でも「身体表現の翻訳」をテーマに、主に8つの上演・配信作品ごとのアクセシビリティ対応を行うほか、その過程を紹介することで、舞台芸術分野でのアクセシビリティの充実と普及につなげることがねらいです。また、鑑賞者に応じて、手話通訳・音声ガイド、会場までのバリアフリールート案内、同行援護サービスなどの個別対応も用意しています。

「TRANSLATION for ALL」のコンテンツ紹介

「TRANSLATION for ALL」は、「視覚や聴覚の障害」、「言語の違い」、「移動に対しての障壁」などのさまざまなバリアを、作家が各々の手法で乗り越えられるよう創意工夫した実験の場です。そのため作品ごとにリアル公演・ワークショップ・オンライン配信と参加の方法が異なります。詳細な日時や予約方法などはInformationをご覧ください。

リアルで実施される公演・ワークショップは4作品。

5月27日(土) 渋谷パルコ 10F 「ComMunE」および屋外にて開催

1つ目が、音楽家の蓮沼執太さん、音楽家で美術家の梅原徹さん、打楽器奏者である宮坂遼太郎さんによる参加型演奏会「PLAY ?ーあそぶ? おとをだす?」。誰でも参加できる演奏会とはなにか、演奏会の時間の組み立てや参加の仕方、演奏方法などを考えながら、さまざまな音を使ってアーティストと参加者が一緒に「PLAY」します。

同フェスティバルのプログラムでは、本番とは別に、事前にアーティストや関係者がアクセシビリティやコミュニケーションについて向き合っている制作過程そのものを、ワークショップや記事などで公開する「LAB」という取り組みがあり、同プログラムも4月29日にプレワークショップが行われました。

「PLAY?ーあそぶ?おとをだす?」プレワークショップの模様

ワークショップ対象の小学生のほか、視覚や聴覚に障害のある人も参加。実施後の振り返りでは、「映像を、楽器やいろいろなものを使って音にしてみるのが楽しかった」、「自分が出している音がアーティストに褒めてもらえたり、皆から注目されたりして嬉しかった」という声がありました。そして、アクセシビリティに関して、耳の聞こえない参加者からは「スタートを知らせる『せーの!』の掛け声がわからなかったので、動きで伝えるなどの工夫が欲しい」、目の見えない参加者から「(隣の人が教えてくれたので困らなかったが)パネルを『上げた!』『下げた!』と一言、アナウンスがあると、みんなの輪に入れる」などの気づきが生まれていました。こうした声を活かして、誰もが楽しめる音で遊ぶイベントが開催されます。

5月19日(金)~21日(日)東京都品川区のギャラリーANOMALYで開催

2つ目が、パフォーマンス集団〈contact Gonzo〉と、デジタルメディアを扱うアーティスト〈やんツー〉による新作パフォーマンス「jactynogg zontaanaco ジャkuティー乃愚・存taアkoコ」。〈contact Gonzo〉による即興パフォーマンスを、〈やんツー〉が制作したマシンを通して人工知能がリアルタイムで言語化することで、「AIによる視覚情報解説音声」に挑戦します。

5月27日(土) より、アプリ「社会実験」と〈THEATRE for ALL〉にて配信開始。渋谷パルコにてお披露目イベントも実施予定

3つ目が、拡張現実=ARの領域を得意とする開発ユニット〈AR三兄弟〉による楽曲「文明単位のラブソング」。いつでもどこでもスマートフォンやパソコンで再生できるARという形式で、日本の時代単位の「音」を現在から過去に向かって遡るパレード曲として立体的に表現されます。

リアル会場でお披露目イベントが行われるほか、〈AR三兄弟〉のアプリでも作品が配信されます。歌を担当する歌手の小林幸子さんとラッパーの鎮座DOPENESSさんのほか、アプリの映像に登場する個性豊かな出演者にも注目です。

6月11日(日)に都内で開催予定

4つ目が、手話やジェスチャーを用いた脱出ゲームなどをプロデュースする〈異言語Lab.〉による手話をテーマにしたワークショップ「めとてであそぼう!しゅわいんぷっと!ワークショップ」。音声言語は用いずに、筆談や身振りを使ってコミュニケーションを楽しみます。

そのほかにも、アーティスト集団〈オル太〉の作品「超衆芸術スタンドプレー」、ダンス環境の整備とクリエイター育成に特化した事業を企画・運営するダンスハウス〈Dance Base Yokohama〉によるパフォーマンス作品「瀕死の白鳥」「瀕死の白鳥その死の真相」が配信されます。

また、アメリカのアーティストMolly JoyceさんとJerron Hermanさんによるコラボレーション作品「“Left and Right” *First streaming as the Japanese version.」、国内外の「EXPERIMENT (エクスペリメント) = 実験」的な舞台芸術を創造・発信する〈KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭〉によるキュレーション作品も公開される予定です。

作品ごとに創意工夫された新しいアクセシビリティに触れられる、本フェスティバル。普段劇場にアクセスするのが難しい方や、芸術鑑賞の機会が少ない方、自宅などの落ち着いた環境でじっくりと作品を鑑賞したい方も、幅広く参加できるプログラムが揃っています。ぜひこの機会に参加してみてはいかがでしょうか。