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“演劇”の可能性を、障害のある人と考える。〈日本演出者協会〉がオンラインシンポジウムを開催
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2023年7月29日(土)にオンラインシンポジウム「障がいのある人たちとつくる演劇の可能性!Part4」 が開かれます。参加無料

「障害者と協働する演劇」の可能性を事例から探る

演劇やパフォーマンスなどの芸術作品の多くは、人と人がかかわりあうことで成立します。アーティスト、ダンサー、脚本家、舞台演出家……もちろん観客も、そのなかの一部。さまざまな背景や特性をもつ人々が一堂に会し、ひとつの作品をつくり上げていく過程には、自分一人では見つけられなかった新たな気づきや視点がつまっているのかもしれません。

2023年7月29日(土)に開催されるオンラインイベント「障がいのある人たちとつくる演劇の可能性!」は、障害のある人との演劇活動やさまざまな人とのワークショップに注力してきた方々をパネリストに迎えるシンポジウムです。主催は〈一般社団法人日本演出者協会〉で、4回目となる今回は、「ここに在る身体にこだわり、あるがままの生命から演劇の可能性を探る」ためのディスカッションや質疑応答を行います。

舞台演出家たちが主催する『楽しくつながるプロジェクト』の一環で

舞台演出家によって組織された〈日本演出者協会〉の社会包摂部は、2020年より「演劇で人と人、地域・社会と人をつなげる」を掲げた『楽しくつながるプロジェクト』を実施。今回のシンポジウム「障がいのある人たちとつくる演劇の可能性!」シリーズのほか、福祉施設と協働した演劇公演、ワークショップなどを行っています。

同シンポジウムは演劇分野で活動する人々に向け、障害のある人たちとつくる演劇について知る機会を提供すると同時に、演劇的な要素を活動に取り入れようと考える福祉施設とのつながりをつくることがねらいです。文化庁『障害者等による文化芸術活動推進事業』の委託事業として、これまでに3回開かれてきました。

2021年の第1回ゲストは、地域に密着したプログラムを展開する劇作家・演出家の永山智行さん、障害福祉施設〈たんぽぽの家 アートセンターHANA〉で活動に演劇を取り入れている佐藤拓道さん、全国で障害がある人もない人も含めたパフォーマンスやワークショップ企画に携わる俳優の黒田百合さんの3名。多様なメンバーで作品をつくりあげていくときの工夫や魅力、価値観の変化について語り合いました。

第2回では、障害がある人々との演劇企画や公演を手掛けてきた〈佐賀大学大学院〉准教授の小松原修さん、振付家の田畑真希さんを招き、障害のある鑑賞者が作品を楽しめるようにする工夫や、地域でプロジェクトを持続させるために意識したことなどについてトーク。さらに第3回には演出家・劇作家・舞台俳優の庄﨑隆志さんと〈一般社団法人グランツ〉飯田浩志さんによる発表とディスカッションが行われたほか、ろう者特有の表現を用いたパフォーマンス「ビジュアルバーナキュラー」も披露されました。

過去に開催されたシンポジウムの配信アーカイブは、〈日本演出者協会〉社会包摂部のウェブページから無料で取り寄せが可能です。

ダンスアーティストと作業療法士の視点から「演じること」を考える

第4回となる今回もパネリスト2名を招き、その取り組みを紹介しながらディスカッションを行う予定です。

体奏家・ダンスアーティストの新井英夫さんは、自身の公演活動と併せて、障害者や乳幼児、高齢者と幅広い人々を対象とした「からだからダンスを発見する」ワークショップを展開。2022年に難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)の診断を受けたあとも、「にもかかわらずオモシロク生きる」をテーマに活動を続けています。

一方の川口淳一さんは、作業療法士の視点から演劇を「コミュニケーションツール」として捉え、これまでに学習障害がある子どもたちや、高齢者福祉施設の利用者などと演劇活動を実施してきました。

それぞれ演劇と福祉の現場に軸足を置く2人。第1回パネリストだった黒田さんをゲストに交え、互いに感じた「演じること」がもたらす効能や気づきについて、会場からの質疑にも応じつつ語り合います。

わたしたちが知っている演劇は、もしかすると “演劇”という宇宙のほんの一部かもしれない。のコピー
文化庁委託事業『令和5年度障害者等による文化芸術活動推進事業』として行われる今年の「障がいのある人たちとつくる演劇の可能性!」案内チラシ

シンポジウムは完全オンラインですが、8月3日(木)~6日(日)には『楽しくつながるプロジェクト』として別途、〈奥多摩町福祉会館〉ホールにて、リアルでの演劇ワークショップ「夏の奥多摩~あなたへのラブレター」も行われます。どちらも障害の有無にかかわらず、誰でも学んだり表現したりできる機会になっています。

興味のある方はぜひ、参加を検討してみてはいかがでしょうか。