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〈たんぽぽの家〉が企画した展覧会「Art for Well-being 表現とケアとテクノロジーのこれから」が3月4日〜12日まで東京渋谷〈CCBT〉にて開催
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“表現とケアとテクノロジーのこれから”を考える

2023年3月4日(土)より〈シビック・クリエイティブ・ベース東京(CCBT)〉スタジオB(東京都渋谷区)にて、展覧会「Art for Well-being 表現とケアとテクノロジーのこれから」が開催されます。

本展を主催している〈たんぽぽの家〉は、奈良に所在する市民団体で、アートとケアの視点からさまざまなプロジェクトを実施しています。これまでに演劇活動プロダクトも〈こここ〉で紹介しています。

〈たんぽぽの家〉では2年間の助走期間を経て、2022年より本格的に障害のある人たちが日常的に表現活動をしている現場で、AIやVRや触覚技術を用いた実験的な取り組みを行ってきました。今回は、その活動成果を発表します。

表現すること、表現に触れること、表現しあうことは、よりよく生きていくために必要

〈たんぽぽの家〉は、「表現すること、表現に触れること、表現しあうことは、よりよく生きていくために必要」という考えのもと、活動を行っています。

病気や事故、加齢、障害の重度化など心身の状態がどのように変化しても、自由に創作をはじめ、表現を継続するためには、どのような方法があるのか。ウェルビーイングに自分を表現したり、他者との関係性のなかで互いに創造性を発揮しながら楽しんだりするために、これからの技術と一緒に何ができるようになるのか。障害のある人たちの表現活動の現場で、さまざまな道具や技法を用いながら、よりよい方法を模索しています。AIやVR、触覚技術の活用も、その取り組みのひとつです。

本展は、取り組みを通して見えてきた可能性、課題、問いかけを展示し、医療や福祉、科学や技術、アートやデザインなど領域を超えて、”表現とケアとテクノロジーのこれから”を考える内容です。

3部構成の展示内容

AIにより生成された画像をモチーフに絵を描く様子(撮影:衣笠名津美)

展覧会は、3つのパートで構成されています。一つ目の展示は「表現に寄りそう存在としてのAI」。〈Qosmo〉代表取締役でAI研究者の徳井直生さん監修のもと、画像生成技術を使った表現活動やそこで生まれた作品を展示します。活動では、「Text-to-Image」という文章を入力すると画像が生成される技術を使用。生成された画像をモチーフとして絵に描いていくなど、AIと表現の関わり方を探っています。

左は、VR作品「CAST」内での光と影の強調された世界。右は、「かげ」をテーマにした実際のパフォーマンスの様子

二つ目は、〈Takram〉ディレクターの緒方壽人さん監修による、VR上でのダンスパフォーマンスの展示「CAST:かげとダンスとVR」。〈たんぽぽの家〉では、2004年からジャワ舞踊家の佐久間新さんとダンス活動を継続してきました。緒方さんが、佐久間さんがメンバーと取り組んでいる「かげ」をテーマにしたパフォーマンスにインスピレーションを受け、「CAST」というVRアプリを開発。それを受けて、今度は佐久間さんと〈たんぽぽの家〉ダンスチームがVRゴーグルをつけ、現実空間と仮想空間で光や影を用いながら踊りました。展示では、そのダンスパフォーマンスのダイジェスト映像を鑑賞したり、VRゴーグルをつけて、VR作品「CAST」を実際に体験できます。

福祉の現場にある日記

三つ目は、 触覚の研究を行う渡邊淳司さん監修の「実感する日常の言葉 – 触覚講談」。福祉の現場では、日記や詩、なにげなく書かれたメッセージなど、日常的に文章がたくさん生まれています。それを、講談師の神田山緑さんによる講談(注)と触覚を伝える装置を用いて、新たな伝わり方を探りました。

注:講談は、日本の伝統芸能のひとつ。釈台(しゃくだい)と呼ばれる小さな机の前に座り、張り扇(はりおうぎ)でそれを叩きいて調子をとりながら、読み物を読み上げる。

エンジニアや研究者、福祉現場の人たちが集い、これからを考える

2023年3月4日(土)16時~18時半には、それぞれの展示の監修を務めた徳井直生さん、緒方壽人さん、渡邊淳司さんに加え、本展覧会の全体監修を務めた小林茂さんが登壇するシンポジウムが開催されます。小林茂さんは、過去には『デザインと障害が出会うとき』の翻訳監修なども担当しています。

左から、徳井直生さん、緒方壽人さん、渡邊淳司さん、小林茂さん

シンポジウムでは、“表現とケアとテクノロジーのこれから”について、現時点での課題や期待などを共有しながら今後の可能性や方向性について探ります。

また、3月7日(火)~10日(金)にかけて、14時〜15時の1時間のギャラリーツアーも開催。1回の定員は5名で、ツアー内では、解説だけではなくVR作品や触覚講談の体験も行うことが出来ます。

福祉の現場での実験的な技術活用を通して、これからの表現とウェルビーイングを考える本展覧会。ぜひお立ち寄りください。