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妊娠〜育児をゲームでシミュレーション!『サンゴクエスト』がクラウドファンディング挑戦中
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カラフルな「サンゴクエスト」の文字の真ん中に赤ちゃんのイラストが描かれているロゴ
ボードゲーム『サンゴクエスト』が、制作費を募るクラウドファンディングに挑戦中です。2023年3月10日(金)まで

妊娠・出産・産後をシミュレーションできるボードゲーム

就職や転職、結婚、子どもの誕生——人生のステージやライフスタイルが変化するタイミングでは、人の価値観も大きく変わったり、揺らいだりしやすいものです。

そうした時、日々生活をともにする家族やパートナーとは、意識的にコミュニケーションをしないと、長期に渡って関係に悪影響が出てしまうことがあります。出産を終えてから数年の間に夫婦仲が急激に悪化してしまう現象、いわゆる「産後クライシス」は、その代表といえるかもしれません。

現在制作が進む『サンゴクエスト』は、課題もある産前産後の変化を、みんなで楽しく学べるボードゲームです。本ゲームでは、妊娠から産後までの激動の期間に起こりうる、さまざまなできごとや心の動きをシュミレーション。母親、父親になる予定の人(「プレママ」「プレパパ」)はもちろん、多様な世代が学び合えるようになっています。

制作費を募るクラウドファンディングはすでに目標100万円を達成し、ネクストゴールに挑戦中。2023年3月5日(日)に開催される「サンゴの日!最終テストプレイ会」では、オンラインで誰もがゲームを体験できるほか、フィードバックを通して、ゲームをつくるプロセスへ参加することもできます。

文字の書いたマス目が並ぶ、ゲームボード
『サンゴクエスト』のゲームボード。クラウドファンディングのリターンには、ゲームそのもののリターンのほか、オンラインイベントの参加権や、ゲームの認定ファシリテーターを取得したい方向けのコースなども準備されています

「産後クライシス」はなぜ起こる?

2012年にNHKの情報番組「あさイチ」で取り上げられて話題になった「産後クライシス」。番組でも参照された〈ベネッセ教育総合研究所〉の調査によると、「配偶者といると本当に愛していると実感する」人の割合は、妻・夫とも妊娠期→0歳→1歳→2歳と減少していきます。

特に数字の下落が大きいのが妻の側です。妊娠期の74.3%に対して、0歳児期には45.5%と急激に減少、その後も減り続けていることがわかります。

夫婦の愛情の変化の折れ線グラフ

実際に子どもが0〜2歳の時期は離婚率が高く、母子世帯となったときの末子の年齢は「0〜2歳」が4割弱という調査もあります(厚生労働省『令和3年度全国ひとり親世帯等調査結果報告』より、死別を除く)。要因としてはさまざまありますが、妊娠・出産前後の女性のホルモンバランスの変化のほかに、男性の家事・育児分担率が低く、女性がストレスを溜め込んでしまうことなども考えられています。

一方で、家事や育児の分担率を調整するだけでなく、お互いの価値観について対話する機会を持っているカップルは、長期的に関係がうまくいきやすいことが近年指摘されるようになってきました。

妊娠から産後までをシュミレーションできる『サンゴクエスト』

こうした背景を踏まえて開発された『サンゴクエスト』は、「妊娠から出産を経て子どもが1歳になるまでの2年弱」の変化を、時系列に沿って体験していくボードゲームです。

シンプルなすごろくを基本とし、マス目には「つわりで体がだるい」「赤ちゃんが動いてる!」「腰痛で眠れない」「(仕事の)引き継ぎで大変」など、想定されるさまざまな心と体の変化が書かれています。さらに、ゲーム中にパートナー同士の対話を促すための工夫として、以下のような特徴があります。

・ママ役とパパ役が交代でサイコロを振り、2人で一緒に進んでいく
・体力、ストレス、パートナーへの愛情、育児スキルなどのステータスが、止まったマスやプレーヤーの選択によって変動する
・1つのマスに止まるごとに、それぞれが「もし今の自分がこのイベントを経験したらどう感じるか」という視点で感想を記入する

ゲームボードやステータスシート、カードなどを使いながらゲームにをプレイしている手元の様子
最終版のプロトタイプでプレイをしている様子。ゲームボード(A2サイズ)のほかに、ステータスシート(A4サイズ)やキャラクターカードやアクションカード、チップ・コマ類も用意される予定

ゲームを通じて互いの価値観を確認していく『サンゴクエスト』は、もともと病院・診療所・助産院などの両親学級(プレパパ・プレママが育児を学べる場所)での利用が想定されていました。しかしその後、「企業研修でも活用できそう」「祖父母世代と親世代の意識のギャップを埋めるのにも役立つのでは」「学校教育で使いたい」など、多様な場面で活用を望む声が集まってきています。

多様なバックグラウンドを持つ人が開発に参加、学校現場での導入も

本ゲームの開発が始まったのは、2021年の3月。そのきっかけは、ボードゲームデザイナーの荒木勇輝さんと、発達心理学者の松永倫子さんの対話でした。

当時、パートナーの第二子出産を控えていた荒木さん。第一子誕生時に育休が取れず、夫婦の関係がぎくしゃくしてしまった過去を振り返り、「子どもを持つ男性が情報を得たり、心の準備をしたりできるゲームをつくりたい」と考えていました。

一方で、産前産後の両親の脳や行動の変化を研究している松永さんは、最近の研究成果を一般にわかりやすく伝える、アウトリーチ(支援機関や行政が積極的に働きかけ、情報や支援を届ける活動)を行いたいという思いを持っていました。

お子さんと思われる赤ちゃんをおんぶする荒木さん。手前にはもうひとりのお子さんもいる
ソーシャルボードゲームデザイナーの荒木勇輝さん
座ってこちらをむいて微笑む松永さん
発達心理学・神経生理学研究者の松永倫子さん

ゲーム化についてのアイデアを2人がSNSで公開したところ、ほぼ同じ趣旨のゲームをつくりたいと考えていたボードゲームデザイナーの上原一紀さんに届きます。そこで3人で初期のプロトタイプを作成し、このテーマに興味のある知人や、助産師や保健師といった専門職の方に声をかけて、体験・検討会を重ねました。

その後、社会保険労務士、地方議員、学校教員、育児中の会社員など、さまざまなバックグラウンドの方が開発メンバーに参加。教育現場への導入など、妊娠・出産の当事者だけではない、多様な方の利用を想定したボードゲームへとアップデートされていきました。

参加者が笑顔でこちらを向いている画面が並ぶ、zoomのキャプチャ画面
助産師さんや保健師さんとの『サンゴクエスト』体験・検討会の様子。オンラインで開催されました
男子生徒と女子生徒が向き合ってゲームを進めている様子
鳥取県の青翔開智中学校・高等学校では、興味を持たれた教員の方の協力のもと、高校の生徒、約40名が授業の中で試作版をプレイ。同校ではその後、保健体育の授業の一環としてもゲームを活用しています(写真:青翔開智中学校・高等学校(鳥取市)提供)

3月10日までクラウドファンデング、ネクストゴール200万円に挑戦中 

現在『サンゴクエスト』は、制作資金を募るクラウドファンディングに挑戦中です。開始から1週間足らずで目標金額100万円を達成し、さらに多くの人に知ってもらえるよう、ネクストゴールを200万円にして、2023年3月10日(金)まで支援者を募集しています。

サンゴクエストのロゴやゲームをしている様子、「ハッピーな夫婦を増やしたい!!」という文字が書かれた、クラファンのトップ画像

3月5日(日)には、「サンゴの日!最終テストプレイ会」として、オンラインでテストプレイを行います。10:00〜11:30と20:00〜21:30の2回開催予定で、内容は同一。オンライン環境がある方であれば誰でも参加でき、費用は無料です。フィードバックを通して、ゲームをつくるプロセスに加わることができます。

また、クラウドファンディング終了日の前日である3月9日(木)20:00〜21:30には、支援者を対象とした「サンキュー!クラファン感謝祭」をオンライン開催。『サンゴクエスト』に期待することやメッセージを開発チームに直接伝えることができます。

“私たちは、サンゴクエストというゲームを通して、より多くの人が子育ての楽しさと喜びを実感できる社会、子育て中の人たちがより働きやすい社会の実現に貢献したいと考えています。”
(開発チームより)

プレイすることで、これから子育てに取り組む人たちが体験をイメージできるようになるのはもちろん、職場の上司や祖父母世代などにも、プレママ・プレパパがどのような悩みに遭遇するかをより理解しやすくなりそうです。ぜひ一度、クラウドファンディングのページを覗いてみてください。