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NFTアートを取り入れた次世代型の支援や就労とは!?「web3で実装する!発達障がいと拓くありたい未来」フォーラムが2023年11月29日に〈東京ミッドタウン〉と動画配信で開催
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フォーラムの登壇者が並んだイベントビジュアル

次世代のインターネット技術を利用した支援や就労の先進事例にふれる

2023年11月29日(水)にフォーラム「web3で実装する!発達障がいと拓くありたい未来」が東京都港区の〈東京ミッドタウン・カンファレンス〉と動画配信で開催されます。

発達障害のある人々も活躍できる社会、それを「Web3」という切り口から実現させるための2つの実証プロジェクトをメインに紹介する講演イベントです。

インターネット技術の進歩がもたらす、新しい福祉のかたちとは

「Web3」とは「Web2.0」に続く次世代のインターネットのあり方のこと。

現在のインターネット上では、SNSや各種サービスなどのプラットフォームを使って、誰もが情報を相互に発信できるようになりました。この状態は「Web2.0」と呼ばれています。そして今後はさらに技術が進み、サービスやプラットフォームなどの仲介組織を通さずとも、ユーザー自身が直接、個人情報のような安全性が求められる高度な通信や、金銭の授受を含む取引が可能になっていく「Web3」へと移行していくのではないかと予想されています。

インターネット上の仮想世界である「メタバース」や、偽造が出来ないデジタルデータ「NFT」などは、「Web3」に内包される新しい技術です。このような「Web3」に着目したのが、同フォーラムを主催する〈株式会社日本総合研究所(以下、日本総研)〉。「Web3」の技術を活用して発達障害のある人の支援や就労機会の提供ができないか、2023年1月より医療関係者や福祉法人、企業や大学などの各関係者と協働した「発達支援」と「就労」に関する2つの実証プロジェクトを始めています。

今回のフォーラムでは、実証プロジェクトの各テーマと関連した基調講演と、実際にプロジェクトに取り組む各協働先の視点をまじえたパネルディスカッションを通して、プロジェクトの現状を報告するとともに、新しい福祉のかたちについても考えます。

NFT制作を新しい仕事に。〈Good Job! Digital Factory〉の試み

〈日本総研〉の協働先のひとつで、就労の実証プロジェクトの参加団体である〈社会福祉法人わたぼうしの会〉が運営する就労支援施設〈Good Job!センター香芝〉。障害のある人の就労や生活を支援する福祉施設であり、アート×デザインをテーマに掲げ、つくる・はたらく・発信するが一体となった取り組みを2016年から続けています。〈こここ〉でもこれまでに「福祉のしごとにん」や「こここなイッピン」などのコーナーで度々その活動について紹介してきました。

ものづくりの工房やアトリエ、全国各地の商品を販売するストア、カフェなどが入った複合的な施設である〈Good Job!センター香芝〉。その一方で、IoTやFab、伝統工芸、クリエイターや教育研究機関など、異業種と協業するプロジェクト実験の場としても、これまでさまざまな個人や団体と連携して実践を重ねてきました。

NFTプロジェクト「Good Job! Digital Factory」の活動の様子

そして今年の秋から〈日本総研〉を含むパートナー企業や団体と、NFTプロジェクト「Good Job! Digital Factory」を立ち上げました。

プロジェクトのキービジュアル

NFTとは、偽造できないデジタルデータのこと。世界にひとつしか存在しないデータには証明書がついており、ときおり美術品のように扱われ、売買されることもあります。

「ブロックチェーン」や「NFT」と呼ばれるデジタル技術を活かすことができる時代にわたしたちは生きています。これらの活かし方は今まさに多くの人たちが探っているところですが、大きな可能性の一つは「場所をこえて、分かちあいや支えあいの文化をつくれること」ではないかと考えています。

((〈Good Job! Project〉公式noteより引用)

このプロジェクトは、「Good Job! Digital Factory」がNFTアートの販売者として立ち、購入に応じて、作品制作やコミュニティ運営に携わっている利用者に報酬が入る仕組みです。また、図案やイラストを提供するコラボアーティストにもロイヤリティが支払われます。こうした枠組みを通じて、新分野での障害者就労の可能性や、新しい仕事の創出について探っていくことがねらいです。

「Good Job! Digital Factory」の取り組みを表した図(公式サイトより引用)

すでにNFTアート制作の取り組みは始まっており、〈Good Job!センター香芝〉では、NFTの理解を深め利活用について意見を出し合えるような学びの場や、実際に作品を描いてみる各種ワークショップなども開催されています。

〈Good Job!センター香芝〉で、プロジェクトを技術面から支えている〈株式会社TART〉の高瀬俊明さんから「NFT」や「ブロックチェーン」について教えてもらう勉強会を実施している様子

第1弾のNFTアートの販売は2023年12月を予定。同プロジェクトの公式キャラクターをもとに制作した1000種類の作品「グッドジョブさん」が発行されます。キャラクターが身にまとっているアートには〈たんぽぽの家アートセンターHANA〉と〈Good Job!センター香芝〉で活動する障害のあるアーティスト10名が、個性豊かなイラストや図案で参加しています。

アートディレクターを担当するデザインオフィス〈CHACO〉の白水雄治さんが手がけた同プロジェクトのキャラクター「グッドジョブさん」

将来的には、全国各地でNFTに興味のある福祉施設のサポートを「Good Job! Digital Factory」が担うことによって、新しい仕事が生まれ、就労の選択肢や可能性が全国的に広がっていくことを目指します。

ニューロダイバーシティやソーシャルデザインを切り口にした基調講演なども

今回のフォーラムでは「Good Job! Digital Factory」の取り組みについて〈Good Job!センター香芝〉のセンター長である森下静香さんと、〈株式会社TART〉の高瀬俊明さん、「Web3」やNFTを専門とする〈日本総研〉の研究員である水嶋輝元さんが、それぞれの立場から同プロジェクトについて語り合います。

そのほか、もうひとつの実証プロジェクトから、北海道小樽市内の発達支援施設〈きっずてらすDive〉で行われている、ゲームで遊びながらデジタル上での新しい仕事について考える児童向け講座の取り組みについて報告があります。

また、2つの基調講演も実施。1つ目は松本理寿輝さん(まちの保育園・こども園 代表)による「ニューロダイバーシティ時代の保育・教育」、2つ目は中村陽一さん(立教大学名誉教授)による「障害と共にある社会の姿~ソーシャルデザインの観点から~」です。

動画配信もあり、気軽に参加できるこの機会。興味のある方は、基調講演やそれぞれの事例から、少し先の未来で実現しているかもしれない福祉について考えてみませんか。