福祉をたずねるクリエイティブマガジン〈こここ〉

【写真】キッチンで、お昼の準備をしている人が4名。それぞれ分担して動いている【写真】キッチンで、お昼の準備をしている人が4名。それぞれ分担して動いている

安心して歳を重ねられる地域とは? 社会福祉法人くらしのハーモニーをたずねて “自分らしく生きる”を支えるしごと vol.28

Sponsored by 厚生労働省補助事業 令和7年度介護のしごと魅力発信等事業(情報発信事業)

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「ずっとここにいたいねえ」。そう言う私の祖母は、生まれ育った街で暮らして70年以上が経つ。暮らし慣れた家で生活し、周りは顔馴染みのご近所さんばかり。地域への愛着も深い。

祖母の願いを叶えたい一方で、親族間では祖母の今後の暮らしについて話すことが増えた。一人暮らしをしているため、何かあったときの不安。高齢化率の高い地域のなかでの継続的な暮らし。

祖母の願いを叶えるためにはどうしたらいいのだろう?

大切な人が、そして自分自身が歳を重ねたとき、慣れ親しんだ場所で暮らし続けることはできるのだろうか。安心して歳を重ねられる地域とは、どんな場所なのだろう。

そんな問いをもって訪ねたのは、京都府にある「社会福祉法人くらしのハーモニー」だ。「ともに生き、ともに学び、ともに支え合う」を理念に掲げ、誰もが住み慣れた地域でともに暮らせる社会を目指している。

「年齢を重ねても、住み慣れた地域でいつまでも暮らしたい」という願いを、どのように叶えているのだろうか。

懐かしさを感じる空間のなかで

京都駅から近鉄線、もしくは地下鉄烏丸線で5分ほど電車に揺られ、最寄りの竹田駅に到着した。取材チームと合流し、竹田駅からさらにタクシーで10分ほどの閑静な住宅街を進むと、「ハーモニーこがなの家」が現れる。

【写真】こがなの家の玄関、看板に「こがなの家」と書かれている
1階は、認知症のある方を専門としたデイサービス。最大12名、京都市在住の方のみが利用可能。
【写真】2階、3階の階段
2・3階は24時間スタッフが常駐するサービス付き高齢者向け住宅。

1階にある両開きの玄関を開けると、中から「あははは!」「ちょっと〜!」と楽しそうな声が聞こえてきた。

中に入るとリビング機能をもった空間が広がり、まず目に飛び込んできたのは、流しがついた特徴的な形のテーブル。そこに集まり、みんなでお喋りを楽しんでいるよう。

【写真】前方後円墳型のテーブルを複数人で囲んでいる
テーブルを中心に、流しの奥にはキッチンも。安全に配慮したうえで、キッチンツールを自由に使える。中央のテーブル以外にも複数の椅子とテーブルがリビング内の空間には点在。窓が大きく、どこにいても陽の光をたっぷり浴びることができる。リビングの隣には和室が2部屋も

壁や天井の至るところに手作りのポスターや装飾が飾られ、ピアノ、障子、おもちゃやぬいぐるみなど、いろいろなものが1つの空間のなかに存在している。

雑然とする空間のなかに宿る、「かしこまらなくていいよ」と言われているような安心感。どこか懐かしく、まるで実家や祖母の家にいるような心地に包まれた。

【写真】アイドルのポスター
なかには、アイドルのポスターまで飾られていた

「やりたい」と「やりたくない」を受け止める

家庭的な雰囲気を大切にしているんです。

そう教えてくれたのは、ハーモニーこがなの家で管理者を務める惠木菜充(えぎ・なつみ)さんだ。

【写真】インタビューにこたえるえぎさん
惠木菜充さん

惠木さんは、さきほどまで中央のテーブルに利用者とともに座っており、笑い合う輪のなかからするりと抜け出し、取材に応じてくれた。

惠木:私が考える「家庭的」は、ほっとする場所や、心地よい場所という意味です。「ハーモニーこがなの家」に来てくださる利用者さんが、よそ行きの自分じゃなくて、ありのままの自分でいられる場所にしたいと思っています。

飾られている装飾やポスター類は、利用者の方とともに造ったもの。お風呂の前にも、「こがなの湯」と書かれたお手製ののれんが下がっていた。

惠木:「家」という名前がついた施設なので、自分の家のように過ごしてほしい。なので私は、同じ目線で接することを大切にしています。敬語や礼儀といった一定の距離感は保ちつつも、近所にいる親戚のような感覚でお喋りしたり、頼っていただけたらなと思ってるんです。

「自分の家のように過ごす」という言葉を体現するような光景が見えたのは、お昼どきのことだった。「そろそろお昼ご飯の準備をしましょう」とスタッフが声を掛けると、「そうね」「そうしましょう」と数人の利用者が立ち上がり、キッチンへ向かった。

【写真】味噌汁を作る様子
毎日、お味噌汁はみんなで手作りしているそう。今日の具は白菜とキャベツのようだ。

惠木:お昼ご飯は、スタッフが見守りながら利用者さんにも手伝ってもらっています。日によっては、利用者さんリクエストのメニューを作ることもありますし、お菓子作りをすることもありますね。料理ってどの家庭でも起こり得ることだから、そうした普段の生活を「こがなの家」でも同じようにしてもらうんです。

料理だけでなく、買い物や草取りなども、“あえて”利用者さんにしてもらうことがあるという。言われてみると、料理や買い物、掃除は生活していれば当たり前に起こる営みだ。施設だからとスタッフがすべてを担うのではなく、利用者と一緒に行うことで、家での暮らしのリズムが自然とここでも続いてく。

【写真】テーブルに置いてある土鍋
今日は土鍋でご飯を炊いていた
【写真】炊き立てのご飯
炊き上がり、蓋を開けるとつやつやのご飯が見えて歓声があがる

さらに、利用者たちが自分らしくいられるよう、「やりたい」という思いを形にする風土が根づいているのも、こがなの家の特徴だと惠木さんは語る。

惠木:食べたいと思ったものを食べられたり、したいと思ったことができたり。自分の家であれば自由にできることを、ここでも自由にしてもらいたいと思っています。もし利用者さんから「これをやってみたい」と言われたら、「やってみよう!」「どうやったらできるかな?」をみんなで考えるんです。

これまでに「卓球をしたい」と話した利用者さんとともに近くの体育館まで卓球をしに行ったこともあれば、最近は利用者と一緒に大阪・関西万博を訪れたそう。

そしてユニークなのが、働くスタッフの「やりたい」も、みんなで叶えていくところだ。過去には「そばを打ってみたい」と話したスタッフと一緒に、みんなで臼からそば粉を挽いたことも。

【写真】臼やサッカーボールが置いてある
玄関横には、歴代のスタッフたちのチャレンジした形跡が今も残る

利用者とスタッフという垣根を越え、一人ひとりの願いをみんなで実現していく。そうした環境だからこそ、みんなが自分の「やりたい」を素直に伝えやすくなるのだろう。

一方で、施設内を案内してくれた介護部長の森康孝(もり・やすたか)さんは「『やりたくない』という気持ちも大切にしたいんです」と話す。

【写真】インタビューにこたえるもりさん
森康孝さん

たとえば、リビングの中央に置かれている特徴的な形のテーブルは、斜め45度の関係性を築けるように設計されている。斜め45度という角度は、正面で向かい合うよりも目線が自然にずれ、リラックスして会話しやすい関係を生み出す。

【写真】テーブルを囲んで重い思いに過ごす人たち
置かれている椅子は、たくさんの候補の中から、当時のスタッフたちが実際に座り、座り心地や立ちやすさなど含め検討したうえで選ばれたそう
【写真】誰も座っていない椅子
照明はオレンジがかっており、落ち着いて過ごせる色合いに調整されている

森:話したい人は一緒に会話を楽しめますし、「話したくなくなってきたな」と思ったら、スッと輪から抜けることができるんです。

確かに、先ほど惠木さんがスッと抜けてきたときも、周りの方はそれに気を取られることなく、お喋りを続けていた。

四角いテーブルでは自分が抜けると空白が目立ってしまい、気を遣ってしまうもの。しかし前方後円墳のような独特の形のテーブルなら、抜けやすい。近くには別のテーブルや和室、本棚がある空間もあり、そこで過ごす利用者もいるという。

自分の家ではないから、「やりたい」を伝えること、ましてや「やりたくない」と伝えることのハードルは高い。しかしながら、「やりたい」も「やりたくない」も、どちらも受け止められる環境設計がなされている。

16人、16通り。それぞれの暮らしの形

続いて案内してもらったのは、2階から3階にあるサービス付き高齢者向け住宅だ。各階に8戸ずつの居室があり、現在は満室。16名の入居者が、一人ひとりここを家として暮らしている。

【写真】宅配ポスト
玄関には、施設のポストとは別に各居室者のポストがある。選挙やマイナンバーのお知らせなどが届くという

各居室には鍵がついており、居室内にはあらかじめエアコンとベッド、お手洗いが備え付けられている。それ以外の家具や布団などの生活用品は、引っ越しのように入居者自身が持ち込み、部屋のレイアウトも人それぞれ。

森:以前の入居者のなかには、イーゼルやキャンバスを持ち込みアトリエのようにされていた方もいましたし、使い慣れたデスクと椅子、パソコンを持ち込んで事務所のような空間にされていた方もいらっしゃいましたね。

何をもって自分の「家」と感じるのか。森さんは、「使い慣れた家具や道具、そしてそこから漂う匂いや手触りだと思いますね」と話してくれた。

今回、入居者のご厚意で実際に居室を見せていただけることに。居室は入居者にとっての自宅であり、ドアは玄関。ノックをして「お邪魔します」と声をかけ、取材チームも一礼して足を踏み入れた。

訪ねたのは、「こがなの家」に入居して10年になる小谷内(こやうち)さんのお宅。仏壇やタンス、机、椅子など、長年愛用してきた家具が並び、枕元にはお孫さんたちの写真が飾られていた。

【写真】みそらひばりさんのポスター
小谷内さんのアイドルは、美空ひばりさん。ポスターが飾られている

森:居室だけでなく、生活スタイルもできる限り家と同じようにできるようにしています。小谷内さんはご自宅で過ごされていた頃、京都駅近くの東寺への参拝が習慣だったので、健康状態やスタッフの都合を調整しながら、今でも参拝を続けているんです。

年齢を重ねたり、施設に入居したりすると、これまでの生活は続けられないと思っていた。しかしここでは、その人らしい暮らし方が今でも続いている。

森:一人ひとり、こだわりの習慣や暮らしがありますから、それを可能な範囲で叶えるのが私たちの役目。日中の過ごし方は自由で、居室でテレビを見て過ごされる方や、1階に降りて縁側でひなたぼっこをされる方、運動のためにバルコニーを歩く方もいらっしゃいます。食事や入浴の時間も、入居者さんの好きなタイミング。一人ひとりの生活スタイルに合わせてケアを行っているんです。

森:住宅の廊下にたまたま介護職員がいるという感覚ですよね。困りごとがあれば、「助けて」と言えるような安心できる居場所を作っているんです。

そんな安心できる居場所作りを管理者として担うのが、窪田峻助(くぼた・しゅんすけ)さんだ。窪田さんは「ノックと声かけの徹底」を、日々スタッフに伝えているという。

【写真】インタビューにこたえるくぼたさん
窪田峻助さん

窪田:こがなの家は一般的には施設ですが、入居者にとっては居室が自宅であり、プライベートな空間です。安心して暮らしていただくために、ノックと声かけは最低限のマナーなんです。

もし自宅に、ノックもインターホンもなく人が突然入ってきたら。そこは安心して暮らせる場ではなくなってしまうかもしれない。自宅で起こり得ないことは、ここでも起こらないよう心がけているのだ。

窪田:入居者さんが「ここは安心して暮らせる」と感じてくださると、少しずつ「こんなふうに暮らしたい」「こう生きていきたい」という本来の希望が出てくるんです。やはり、信頼できない関係性や安心感がない場所では、入居者さんの希望はなかなか出てこないんですよね。

1階では、空間と人の関わりが安心感を生み、2階・3階ではスタッフのきめ細やかな心配りが安心を支えている。階ごとに役割は異なっても、根底にあるのは「その人らしい暮らしを守る」という共通の思いだ。

そして森さんは、「入居までのプロセスに、まずは『慣れ親しんだ地域・家で暮らすことができないか』という模索期間がある」と話す。

森:「こがなの家」は暮らし方の選択肢のひとつです。介護が必要になると、多様な介護サービスや施設、ご本人やご家族の希望など、さまざまな要素が重なります。それらをケアマネジャーと一緒に考え、模索したうえで「こがなの家」での暮らしになっていくんです。

介護が必要になったとき、「どこで」「どう暮らすか」という選択は、本人だけでなく家族にとっても大きな決断だ。「こがなの家」での暮らしは介護を受けながらも、自分のペースで暮らし続けていける。

地域にひらく、「とも生き」のかたち

社会福祉法人くらしのハーモニーは、地域の人とともに対話しながら、必要なサービスをつくり続けてきた。

「ハーモニーこがなの家」以外にも、介護老人保健施設「ハーモニーこが」をはじめ、デイサービスセンターや小規模多機能型居宅介護、くらしの相談窓口などの事業を展開。「安心して生活できる地域づくり」を掲げ、施設・住宅サービスから通い、訪問、相談まで、幅広い支援を行っている。

介護老人保健施設とは、利用者の状態に合わせて自立した日常生活を送れるよう、医師の管理のもとで看護・介護・リハビリ・食事などのサービスを総合的に提供する施設のこと。

介護老人保健施設「ハーモニーこが」と「ハーモニーこがなの家」の施設ケアマネジャーを兼任する中村和佳奈(なかむら・わかな)さんは、新卒から18年にわたり、くらしのハーモニーで勤務してきたベテラン職員だ。

【写真】インタビューに答えるなかむらさん
中村和佳奈さん

中村さんは、ケアマネジャーとしての役割が「老健」と、こがなの家のような「特定施設」では異なると話す。

中村:介護老人保健施設、いわゆる老健は、自宅や他施設など次の場所へつなぐことが目的です。一方こがなの家は、今を維持して元気に過ごしてもらうことを目指しています。老健では医師の管理のもと、多職種との連携が求められ、ケアマネはチームの中で調整役となりますが、こがなの家は介護職が中心になり、日々のケアのなかで見える利用者・入居者の希望を汲み取りながら、現場の声を大切にケアプランを立てています。

「ハーモニーこがなの家」に勤務していたこともある中村さんは、時代の変化とともに地域との関わりが深まっていると語る。

中村:毎年、秋口に地域の方と一緒に味噌を仕込む「味噌びらき」というイベントを行っているのですが、先日も大盛況だったと聞きました。他にも、地域の方が自然と関われるようなイベントや仕掛けを増やしていて、地域とのつながりが年々強くなっていると感じますね。

【写真】こがなの家の玄関
法人名が書かれた車で市内を走るとき、地域の人に少しでも覚えてもらおうと「こんにちは!」と挨拶しているそう

「ハーモニーこがなの家」には大きな門扉や塀がなく、道路との段差もない。それは、「地域の方が気軽に訪れてほしい」という思いからだ。

縁側には「置きベン」と名付けられた誰でも座れるベンチがあり、利用者が作ったシュシュやカーテン留めを並べる「こがな工房」も併設されている。このように、施設と地域の境界をなくすような仕掛けがあちこちに用意されているのだ。

【写真】玄関にDIYしたものたちが置かれている
地域の人と関わるきっかけ作りとして、スタッフがDIYした「こがな工房」。あるもので「自分たちで暮らしを作る」のが、こがなの家のスタイル

中村:「介護」や「認知症」にまつわる場所と聞くと、どうしても敷居を高く感じてしまうこともあると思います。でも、それは「知らない」から。こがなの家のように施設が地域に馴染み、困ったときに頼れる場所になれたらいい。直接サービスを利用していなくても、介護の必要性が出てきたり、何かあったときに「実は……」と気軽に相談できる場所があれば、私たちも一緒に考えることができますから。

そんな身近な安心は、地域で暮らす人々にとっても、拠り所になるように感じる。介護は家族のことだから話しづらいと思ってしまいがちだが、日頃から認知症のある方と関わったり、施設とつながっていると、何かあったときの頼り先として、自然と頭に浮かんでくるだろう。

中村:私は18年この法人で働いてきて、「ともに生き、ともに学び、ともに支え合う」という理念、スタッフ間では「とも生き」と呼んでいるのですが、「とも生き」が自分の中に染みついているように感じますね。職員や利用者さん、入居者さんが「やりたい」と言ったこと、「食べたい」と思ったもの、「行きたい」と感じた場所、そういった暮らしの楽しみをケアマネとして後押しするのが私の役目だと思っています。

専門職、地域の方、そして自分。この地域で暮らしていく

最後にお話を聞いたのは、介護老人保健施設「ハーモニーこが」と兼任で「ハーモニーこがなの家」の理学療法士を務める吉岡富恵(よしおか・とみえ)さん。

理学療法士の立場から、どのように暮らしを支えているのだろうか。

【写真】インタビューにこたえるよしおかさん
吉岡富恵さん

吉岡:理学療法士である私の役目は、年齢とともに低下する身体機能を少しでも緩やかにすること。リハビリのアドバイスを行うこともありますし、こがなの家では、入居者さんが安全に生活できるよう、居室環境の提案も行っていますね。

たとえば、立ち上がるときにふらつきが見られた場合は「手すりをつけませんか?」と提案したり、歩行が衰えてきたら運動を取り入れるようスタッフに打診したりすることもあります。身体の側面から一人ひとりの暮らしを支えるのが私の仕事です。

吉岡さんは週に1〜2回ほど「ハーモニーこがなの家」を訪れ、スタッフたちから利用者の状態をヒアリングする。スタッフから共有される利用者・入居者の状況にあわせて、筋力の低下、歩行の鈍り、口元の緩みなどを観察し、必要な対応を検討するという。

【写真】テーブルを囲う人たち
食事の前は、みんなで体操を行う

吉岡:時には利用者さんや入居者さんが望む暮らしよりも、理学療法士として譲れない、安全ラインの確保を優先するときもあります。転倒を防ぐ工夫として、ふっと手をつける生活動線上に、家具の配置をお願いすることも。すぐに快諾してもらうのは難しいこともありますが、うまく妥協点を探してく。一人ひとりの暮らし方を尊重しつつ、安全に暮らせるように調整することが大切なんです。

生活の仕方がそれぞれあることを踏まえ、他のスタッフにも助言してもらいながら、安全と暮らしやすさのバランスを考えている。

吉岡さんの言葉を聞きながら、「暮らす」とは単に生活することではなく、自由に過ごせる余白と、それを支えてくれる人や環境の両方があって初めて実現できるものなのかもしれないと感じた。

やりたいことも、やりたくないことも受け入れられる場。環境が変わっても、生活リズムやその人らしい暮らしが途切れないこと。奪わず、見張らず、施設の住人として扱わないこと。暮らしにおける安心は、日々の細やかな人のサポートと、ハードへの配慮の両方で守られている。

一人では難しいことも、家族や専門職、地域の人など、多様な人たちの支えによって可能になる。だからこそ、「ともに生き、ともに学び、ともに支え合う」という理念は、暮らしを支える地域そのものの姿のように感じた。

目に見えないけれど確かに感じられるつながりの中に、安心して歳を重ねられる地域があるのかもしれない。

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