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混ざって、話して、“休む”を楽しむ。こここ1周年企画「のんびり縁日」開催レポート
レポート

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会場の様子。編集部スタッフや来場者が思い思いに過ごしている様子が写っています。

〈こここ〉は1周年を迎えました。

こんにちは。こここ編集部です。

「個と個で一緒にできること」を合言葉に創刊した、福祉をたずねるクリエイティブマガジン〈こここ〉は、2022年4月15日に創刊から1周年を迎えました。

1年間で約200本の記事を公開し、「こここ、読んでます」「あの記事よかったです」「こんな情報載せてもらえませんか?」などお声がけいただくことも増えてきました。一人ひとりの率直な言葉がとても嬉しく、励みになります。

一方で、ウェブマガジンはなかなか読者と直接お会いしづらいもの。以前から編集部では「もっといろいろな人にお会いしたい。直接お話ししてみたい」と考えてきました。

約400名の方と過ごした「のんびり縁日」

そんな気持ちで2022年4月15日〜17日に開催したのが、1周年イベント「〈のんびり縁日〉へようこそ」。

まちなかにある〈神田ポート〉を会場にお茶を飲んだり、本を読んだり、ゲームをしたり、ぼーっとしたり、それぞれが好きに過ごせる小さな縁日。福祉発プロダクトを買える「イッピン市」があったり、さまざまなゲストが登場するトークがあったりと盛りだくさんの3日間をお届けしました。

会場となった神田ポートビルの外観。入り口はガラス張りで、外から中の雰囲気が見えます。

おかげさまでイベントは大盛況で、3日間で約400名の方が来場。オンライントークの視聴者も含めると550名以上の方々に参加いただきました。

企画から運営まで編集部の手づくりでどうなることかと不安もありましたが、たくさんの方とお会いできて、のんびり過ごしていただけて、幸せな3日間でした。「行きたかったけど行けなかった!」「次は地元でもやってほしい」との声をたくさんいただいた「のんびり縁日」。簡単ですがイベントレポートをお届けします。

イベントに合わせ、〈西淡路希望の家〉からは〈こここ〉1周年のお祝い飾りも届きました。ありがとうございます!

〈のんびり縁日〉へようこそ〜“休む”を楽しむちいさな縁日

イッピン市

これまで「こここなイッピン」で紹介してきた商品を中心に、全国の福祉発プロダクトが集合したマーケット。 雑貨やアクセサリー、お菓子、本など、約60点が出品。当日は応援に駆けつけてくれる作り手さんや施設の職員さんもいらっしゃって、会場も盛り上がりました!

*出品ブランド・団体:irodorikiitosクラフト工房LaMano工房まるtam tam dotたんぽぽの家アートセンターHANATERAS西淡路希望の家HAHAHANO. LABOハーモニーpoRiff

「イッピン市」を紹介するバナー。
〈たんぽぽの家アートセンターHANA〉の「厄除鬼の土鈴」。大小サイズと7色のバリエーションがあって、「どれにしよう」と悩む人も多かったイッピン
「イッピン市」でも大人気だった、ポリ袋を圧着させて作った〈poriff〉のポーチ。自宅で作れるレシピ本と合わせて買っていく人も
東京都世田谷区にある〈玉川福祉作業所〉で作られているブランド〈irodori〉のビーズブローチは、それぞれ1点もの
こちらも瞬く間に売り切れてしまった〈西淡路希望の家〉のビニールバッグやポーチ。中にはプラバンがおさめられているユニークなイッピン
一つひとつにユーモラスな言葉が書かれている、母と子のユニット〈HAHAHANO.LABO〉の「ハハハナハコ」。「これは自分のことを言っているのかも⁉︎」「なんでそれを選んだの?」とハコを手に盛り上がるシーンがたくさんありました
福岡県にある〈工房まる〉からは、一人のメンバーさんが20年以上作り続けている「ピーナッツくん」とピーナッツくんグッズが出品
〈ハーモニー〉のメンバーの体験をもとに作られた「幻聴妄想かるた」の第3弾。「わくわく遊技場」では、かるたを体験できるコーナーも

きまぐれ喫茶

福祉施設でつくられたコーヒーやハーブティー、お菓子の販売コーナー。テイクアウトだけでなく、その場でコーヒーやハーブティーを楽しんだり、コーヒー豆のハンドピックを体験できたりするコーナーも。

*出店ブランド・団体:ソーシャルグッドロースターズ千代田、かすたねっとHERB AND…

コーヒー豆の販売ブースに、2名のスタッフさんが並んでいます。
〈神田ポート〉のご近所さんでもある〈ソーシャルグッドロースターズ 千代田〉は、その場でハンドドリップコーヒーを淹れる出張バリスタとして参加
ハンドドリップコーヒーを淹れているところ。
東京・練馬にある〈かすたねっと〉の焼き菓子と、〈HERB AND...〉のハーブティー。どちらも〈社会福祉法人花水木の会〉が運営する就労継続支援B型の事業所で作られています

わくわく遊技場

〈こここ〉では、福祉の現場から生まれたさまざまなゲームが記事に登場します。会場では「超・幻聴妄想かるた」、「コミュニティコーピング」、「知財deポン」などのテーブルゲームで遊べる「遊技場」を開設。一般社団法人コレカラ・サポートさんによる体験会なども開催しました。

遊技場で体験会を開催した「コミュニティコーピング」は、地域のなかでつながりを持たない「社会的孤立」の問題を知り、解決手段を考えるためのボードゲーム
「コミュニティコーピング」の開発を手掛けた〈一般社団法人コレカラ・サポート〉代表理事 千葉晃一さんがファシリテーションもしてくださいました。参加者と一緒に「どうしたら孤立を防げるか?」「超高齢化社会で一人ひとりができることは?」を考えていきます

こここみくじ

1年間で約200本の記事を公開してきた〈こここ〉。さまざまな記事に出会ってほしいと、おみくじ方式で記事に出会う企画も。

壁に貼られたおみくじを引くと、記事にリンクするQRコードと引用文に出会う仕組み

おすすめ本棚

会場中央には、〈こここ〉編集部の本棚を紹介するコーナーも。実際に各編集部員から本を集めて並べました。何時間も座って読み込む人や、本をめくりながらおしゃべりする人の姿も。

同じウェブマガジンを運営しているメンバーでも、関心や興味はちょっとずつ違います。こんな本もあったんだなぁと編集部内でも発見が。会場では、書籍リストも公開しました

こここトーク@オンライン

会期中は〈こここ〉編集部がナビゲーターとなり、〈こここ〉の執筆者や取材先の皆さんと「個と個で一緒にできること」にまつわるオンライントークを毎日開催しました。

「のんびり縁日」の会場から毎日配信。遠方のゲストや参加者の方とつながってお話できるのはオンラインならではのよさですね

DAY1トーク「『福祉』と『表現』〜 個と個で一緒にできること」(2022年4月15日開催)。ゲストは、アサダワタルさん(文化活動家)、新澤克憲さん(就労継続支援B型事業所ハーモニー施設長)。〈こここ〉で連載しているおふたりとともに、そもそも「福祉」とは? そこでの「表現」とは? というテーマでお話しました。

*アサダワタルさんの連載:砕け散った瓦礫の中の一瞬の星座 -ケアと表現のメモランダム-
*ハーモニーの連載:いたずらに人を評価しない/されない場所「ハーモニー」の日々新聞

DAY1 トークでは、就労継続支援B型事業所〈ハーモニー〉に通うメンバーの皆さんも参加。一緒にお話ししました
トークの配信画面。3名のゲストとこここ編集部スタッフ、そしてUDトークの文字が写っています。

DAY2トーク「『協働』と『ものづくり』〜 福祉発プロダクトの現場をたずねて」(2022年4月16日開催)のゲストは、大山真司さん(特定非営利活動法人Lanka 施設長/Bean to Bar CHOCOLATE kiitos 代表)、森下静香さん(Good Job!センター香芝センター長)、薮内 都さん(くふう代表/poRiff)。

障害のある人、福祉施設スタッフ、地域の人などが協働する場から生まれた、魅力的な品々を紹介する「こここなイッピン」。このコーナーで登場した福祉発プロダクトを紹介しつつ、製作の現場に関わる方々にお話を伺いました。

トークの配信画面。2名のゲストとこここ編集部スタッフ、手話通訳、UDトークの文字が写っています。

DAY3トーク「働くろう者を訪ねて 〜 写真家・齋藤陽道さんの「仕事」をめぐる旅」(2022年4月17日開催)。手話を第一言語とする「ろう者」はどんな仕事をしているのでしょうか。

写真家であり、ろう者である齋藤陽道さんが、さまざまな人を訪ねながらポートレート撮影とインタビューを重ねていく連載シリーズ「働くろう者を訪ねて」はこれまでに14名の方をたずね、紹介してきました。この連載を手掛ける齋藤陽道さん、盛山麻奈美さんのお二人に、企画の経緯、取材のなかで出会ったこと、考えたことなどをお伺いしました。

企画も運営も登壇も。編集部によるオール手づくりのイベント

以上、「のんびり縁日」のレポートでした。

はじめに書いたように、もともとは「読者の方に直接会いたい」「〈こここ〉を通して知り合った方とゆっくりお話ししてみたい」という動機から企画した今回のイベント。それであれば自分たちの手でつくっておもてなししよう! と、企画から運営まですべて編集部の手づくりで開催しました。

ウェブマガジン運営と並行しての準備はなかなか大変でしたが、おかげで、〈こここ〉らしい温度で開催できたかなと思っています。実際にたくさんの方にお会いして、これからの〈こここ〉に大切なヒントをいただきました。

また、開催にあたって協力いただいた方々もたくさんいらっしゃって、1年間でご縁がこんなにも広がっていたのか……と再確認する機会にも。そういう意味でも「縁日」だったなぁと思い返しています。

会場を彩るかわいいグラフィックは、〈こここ〉のロゴも手掛けたグラフィックデザイナー・松本健一さんによるもの
取材で撮影を担当してくれているフォトグラファーさんなど、関わってくれている人たちがご家族と一緒に遊びに来てくれたのも嬉しかったです
編集部メンバーも、当日はイベント運営に大忙し。知人友人家族の手を借りて挑みました
〈こここ〉編集部メンバー。日頃はリモートで運営しているので、全員が実際の場で集まるのはとても珍しい時間。チームの1周年としても節目の機会になりました

“個と個で一緒にできること”を探して

〈こここ(co-coco.jp)〉は、「ともに」を表す英語の接頭辞「co-」と、日本語の「個」をかけ合わせてつくった造語です。「個と個で一緒にできること」という合言葉を掲げ、「幸せ」という意味を持つ「福祉」を、社会に生きる全員が自分のこととして考えていくための手立てを探ろうと活動してきました。

パンデミックの最中に創刊し、その後も決して穏やかとはいえない出来事が続いてはいますが、足元の不確かなときだからこそ、人と出会いながら一人ではできないことを考え、小さくとも行動に移していきたいと考えています。そんな〈こここ〉を引き続きよろしくお願いいたします。

ご来場、ご視聴、ご協力いただいた皆さま、ありがとうございました。またどこかでお会いしましょう!