福祉をたずねるクリエイティブマガジン〈こここ〉

【イラスト】夜中にサンバのリズムで踊る人々【イラスト】夜中にサンバのリズムで踊る人々

それぞれの睡眠事情から生まれた『不夜城サンバ』 いたずらに人を評価しない/されない場所「ハーモニー」の日々新聞  vol.21

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ふしぎな声が聞こえたり、譲れない確信があったり、気持ちがふさぎ込んだり。様々な心の不調や日々の生活に苦労している人たちの集いの場。制度の上では就労継続支援B型事業所「ハーモニー」。「ハーモニーの日々新聞」と題し、そこに関わる人の日常・出来事をよもやま記していただく連載です。(こここ編集部 垣花つや子)

社会の時間に自分の睡眠のリズムが合わない?

この記事が皆さんに届く頃には、少ししのぎやすくなっているかもしれませんが、今年の夏は格別に暑かったですね。「寝苦しくて夜中に何回も起きちゃったよ」「エアコンつけたまま寝たら体調悪くて……」といった会話がハーモニーでも交わされました。

眠ることは、人間が生命を維持していくうえで大事な活動の一つだと言われます。「健康づくりのための睡眠ガイド2023」(厚生労働省)では、成人は「6時間以上を目安として必要な睡眠時間を確保する」ことが健康を保つために推奨されています。

眠りの時間を左右しているのは25時間周期の私たちの体内リズム。それを24時間周期の地球の動きに合わせていく時に起きるズレを、自然の光や食事や運動、仕事や学校などの社会的な刺激によって修正していきます。

ただ、個人差があって、睡眠リズムが一定しない人もいたり、いつも早く寝て早朝から起きている人、逆になかなか寝付かれず、昼まで眠っていたい人もいます。

ハーモニーの創成期のメンバーで「僕はインド時間の人だから」と、おっしゃった人がいました。東京とインドの首都デリーの時差がちょうど3時間半。他の人が朝7時に起床し、19時にハーモニーにやってくるとしたら、「インド時間の人」は10時半に起床して、昼ご飯代わりの朝ごはんを食べて、13時半にハーモニーにやってくるのです。お昼過ぎに現れると私はこんな風に声をかけます。

「インド時間の人さん、今日は道中、どんな感じでした?」
彼はこんな風に答えます。
「ベンガル湾はサイクロンが吹き荒れて、大しけでしたよ」
私は笑いながら答えます。
「ナマステ!よくおいでくださいました」

ハーモニーの人を、よくよく観察すれば「インド時間の人」だけでなくて「エジプト時間の人」(時差7時間)も南米の「チリ時間の人」(時差13時間)も見つけることが出来ます。それぞれが、ユーラシア大陸を超え、太平洋を渡ってハーモニーに辿り着いたと考えてみるのもちょっと愉快です。それどころか、1日が10時間の周期で自転している「木星人」もいたかもしれません。

体内リズムとうまく折り合いをつけて、24時間の周期で朝にめざめ、その日のうちに眠りに就く人たちは多数派。でも、社会の時間に自分の睡眠のリズムが合わず居心地の悪い思いをしている人たちがいるということも想像してみてほしいのです。

ハーモニーのメンバーの多くが眠りにまつわる困りごとを持っています。身体の求める睡眠の周期のズレだけでなく、病と服薬という要因が、安定した眠りをさらに得にくくしているようです。今回は、みんなが苦労している睡眠をテーマにしてみました。(新澤克憲)

それぞれの睡眠事情

新澤

「朝早く、起きる人います?」

フミ姫

「はーい!4時か5時に起きます。それで朝、昼と食事をして夕方3時には夕ご飯を食べて、時には夜6時に寝ることもあります」

新澤

「早く寝ることもあるんですね」

フミ姫

「もっとテレビとか見たいです。みんなこの時間はテレビ見てるんだろうなって思いながら寝なきゃって寝てます」

新澤

「夜のんびりできないっていうのが悩みなんですね。眠る薬は飲んでるの?」

フミ姫

「飲んでます。頓服も飲んでます」

新澤

「眠る薬が無いと寝られない?」

フミ姫

「もともと鬱があってお薬がないと眠れないんです」

新澤

「そうか。他にも早めに寝ちゃう人いますか」

金ちゃん

「ああ、僕も早いですよ」

フミ姫

「金ちゃんも早いの?」

金ちゃん

「禁煙中は、ずっと起きててもつらいので、夜6時くらいには寝てました。ストレス溜まっても早く寝ます。寝逃げかな(笑)」

新澤

「ずっと朝まで眠れる?」

金ちゃん

「いや、夜中に起きちゃう」

新澤

「たしかに、途中で起きちゃう人は多いですね」

ミチコ/コノンちゃん/フミ姫/小川/ハル

「はい、はい!!」

金ちゃん

「お腹すくんですよね」

新澤

「前は、夜中にコンビニにチキン買いに行ったりしたんでしょ。お腹空いて」

金ちゃん

「あはは。今はもうしてませんよ。お金かかるし。でも、お米をたくさん食べると眠りやすいっていうのを発見しました」

kagesan

「金ちゃんって、すごく食べるよね。お米1合くらい(笑)」

新澤

「僕はそんな時間に食べると全部お腹の肉になっちゃいそうですよ」

コノンちゃん

「私は野菜を食べます。何でもいいから野菜を食べる。冷凍野菜を買っておいておくんです」

新澤

「いい知恵ですね。野菜は脂っこくないから胃にもたれないしね」

小川

「僕も1時に起きます。それで冷えたオレンジを食べます」

新澤

「あ、小川さん。小川さんは今日もオンライン参加ですね。画面に出てますよ。小川さんちには冷えたオレンジが好きなんですね」

小川

「はい。フルーツをお姉さんが買ってきます。中でもオレンジはおいしいです」

コノンちゃん

「私は、眠れないことが多いので、いっぱい眠れなかったときの対処方法を考えておいて、それを細かくやっていく、習慣をたくさん作っておく。で眠れないなと思ったときに細かくやっていくと自然と眠れる」

新澤

「なるほど」

コノンちゃん

「暖かい飲み物を飲むとか」

ミチコ

「暖かい飲み物良いですねー。私もやります」

新澤

「対策をあらかじめ決めておくと困らないですね。食べること以外に、何か対処法はないかなあ」

金ちゃん

「牧師さんの声を聴くと眠れます」

新澤

「アーメン?」

小川

「安眠枕。イタリア製の。1万円です。通販で買いました」

新澤

「効果はありますか」

小川

「5分で寝ちゃいます。頭載せて5分」

ハル

「自分は9時になったらスマホをはなすようにしています。部屋を暗くして眠りやすい音楽をきいたり」

新澤

「スマホのライトはよくないっていうものね。ところで、スタッフの睡眠事情はどうですか」

久保田

「私は寝るの大好きです。偏頭痛があるので寝ちゃうと楽っていうのもあります」

新澤

「寝ると元気になれる?」

久保田

「大分ましになります。お酒飲んだ後は良いですね。こてんと寝られるから」

黒瀬

「僕、土日か休みの日は12時間とか13時間とか寝ちゃいます」

kagesan

「若いなー。俺も若い頃は、1日寝ていたことがあります」

新澤

「そういえば、亡くなったあるメンバーは、出会った頃48時間起きて24時間寝るような生活をしていましたね」

夜更けのライブ配信

新澤

「そういえば、田中さん。以前は、よく夜更かししてましたね」

田中

「夜は大体、友達と電話してるんですけど……」

みんな

「田中さんは、昼間もいつも電話してるよ(笑)」

田中

「あはは(笑)。そんなわけで一日中、電話してるんですけど、最近は夜更かしせず、夜の電話は早めに切り上げましょうという訪問看護師さんとの約束があるんです。スマホは手の届かない仏間で充電して、それをお袋がチェックしてるんですよ。それで、しかたなく眠剤飲むと、報道ステーション見てる途中で眠くなるんです」

新澤

「でも、薬を飲まないこともある?」

田中

「漫画の単行本を一気読みしようと決意して、その晩は飲むのを止めておこうなんて考えると、もう本当に眠れないですね」

新澤

「そういえば、一時、夜、活動していた時期がありましたよね。突然、大掃除始めたり」

田中

「あれは躁転していた時です」

新澤

「夜中にFacebook見てると、突然の田中さんのライブ配信が始まったりしましたね」

金ちゃん

「あった、あった」

田中

「やってましたね(笑)。もうやらないですよ。振り返ると恥ずかしいです」

新澤

「田中さんのライブ配信もそうですけど、眠れなくて、あとで振り返ると参ったなということってありますか」

金ちゃん

「朝5時に友達に電話かけたり、かけられたり。自分が辛くてかける時は、相手が出てくれるとうれしいんだけど、逆にかけてこられると『あ~、こんなに早い時間に』と思うんですよね」

小川

「一晩中、新澤さんにメッセンジャー送ってます」

新澤

「何度も言いますけど、夜中に僕はメッセンジャー見てませんからね(笑)」

薬と眠り

新澤

「みんなに聞きたいのは、普通に眠くなって寝るのと眠剤(睡眠薬)で寝るのは違うのかということです」

田中

「眠剤飲まないで二日くらい起きてて自然に寝たことがあるんですけど、あれはよかったですね。眠剤飲んで寝るのも良いんですけど。自然に眠れるといいなあ」

kagesan

「僕はずいぶん、苦労したんですよ。この2年ほどで薬がやっと定着しました」

新澤

「眠れない、途中で目が覚めちゃうということは無いんですか」

kagesan

「最近はちゃんと薬を飲んでいれば、ぐっすり眠れるんです。自然に」

新澤

「おお!よかった。kagesanは眠れなくてずいぶん苦労しましたね」

kagesan

「そうです。それで先生に言って行きついたのが今の薬です。それまでは、飲んでも飲んでも効かなくて、挙句の果てに、部屋の中で転倒したりしてました」

金ちゃん

「効く薬が見つかってよかったね」

kagesan

「はい。今のところ、上限いっぱいの薬を貰ってます。今、頓服がないんです。上限の薬を出されているので頓服は出せないって言われているんです」

新澤

「あらためて聞くのも、おかしいけれど眠れない時は、つらいですか」

kagesan

「はい。何をしても。横になっても眠れないんです。落ち着かないんです。煙草バカバカ吸ったり、パンとか食べたり、テレビつけたりして落ち着かないですね」

新澤

「薬は眠りの手助けになるのは分かるんですけど、起きる時はどうでしょう」

kagesan

「前は、朝まで眠剤が残って辛いこともあったけど、最近は、朝起きる時はドン・キホーテで買った目覚まし時計で起きます。一発です」

ハル

「薬によっても、効き目が違うんです。セルシンを飲んでそれでも眠れなかったらデパスを飲んでいます。でもデパスは中途覚醒しちゃいますね」

新澤

「なるほど。DRG57さんは?」

DRG57

「薬さえあれば眠れます。夜11時過ぎに」

新澤

「すーっと?」

DRG57

「そうでもないです。実際に睡眠薬飲むのは10時に入ってからです」

新澤

「薬と眠りの関係は様々ですね」

サイヤ人

「前飲んでいた薬が眠くなりすぎる薬でした。普通に夜寝て朝起きるんですけど、朝の薬飲んだ後にもう眠くなって、コーヒー飲んで起きてましたね」

新澤

「普通に起きていても眠いんですね、薬で」

サイヤ人

「コーヒーで起きるんです。でも昼食後に薬飲むとコーヒー飲んでも眠いです」

新澤

「昼間の薬で眠くなるんですね?」

サイヤ人

「ええ。気が付いたら自分の部屋で昼寝をしているんです。しかも30分位じゃ起きられないですね。1時間とか2時間とか寝ます。起きようと思っても体が起きないんです、薬が効きすぎて。金縛りみたいになっちゃうんですよ」

新澤

「金縛りですか」

サイヤ人

「頭では起きようと思っているんです。けれど体が言うことを聞かない、体が動かないって感じなんです」

犬太郎

「僕の場合は、飲まないとなんかぼーっとして意識があるようなないような状態で朝までいっちゃうんですね。だから、僕の場合も眠剤はあったほうがいいとは思います」

眠剤飲んで、ご飯食べに行った

新澤

「眠剤も使い方しだいで、困ったことになったりしますよね」

犬太郎

「はい。大体は薬飲めば15分位で眠くなってすぐ寝ちゃうんですけど……ただこの頃朝起きて5時ごろはっと目が覚めて気が付くとトイレに座っているんですね。だから眠剤が強いのか分からないんですけど……途中でトイレに行きたくて起きてそのまま眠っちゃって朝になるんです」

kagesan

「ぼくもあった」

小川

「ぼくも」

新澤

「トイレで寝ちゃう話は、時々聞きますね」

犬太郎

「それから、お腹が空いている時に薬を飲むとすごく効いちゃって、薬飲んでコンビニに行ったら意識が朦朧としていつ帰ってきたのかわらかないんです。家に着いたらぶつけたのか足が血だらけになってました」

新澤

「眠る薬を飲んで出かけちゃいけないですね」

犬太郎

「そうですね。わりと僕はそういうことが多くて、眠剤のんで中華料理店に行ったんですけど、ぽろぽろぽろこぼして何だろうって思って立ち上がったら皿を落としちゃって、となりの人にかけちゃったんです。『すみません具合悪くて』って言ったら、『具合悪いんじゃ来るな』って言われました。本当はそういう時、洗濯代渡すじゃないですか。『持ち合わせがなくって』って言ったら『良いから帰って寝なよ』って言われました」

小川

「ぼくもあります。眠剤飲んで歯科に行ったら階段から落ちた。怪我しました(笑)」

新澤

「そもそも、眠剤飲んで歯科に行くって、状況がよくわからない……」

みんな

「気をつけてね!」

新澤

「『新・幻聴妄想かるた』(2014)の中の一枚を思い出しますね。睡眠薬を飲んだ後に、お寿司屋さんに行って、カウンターに座って注文したと思ったら、そこで寝ちゃったというお話です。気がついたら病院のベッドに寝ていたと。窒息事故につながるので、気をつけましょうという一枚です」

【画像】人が、地べたに横になっている
すし屋で倒れた『新・幻聴妄想かるた』

眠剤なしでやってます

新澤

「そういえば、最近、眠剤がなくても大丈夫だよという人はいますか?」

マッサン

「僕はね、最近、薬、飲んでも飲まなくても良いじゃないかって雰囲気があるんですけど、でも習慣を止めるのが怖いので飲んでいます」

新澤

「マッサンさんは眠剤なくても眠れるかもしれないんですね」

マッサン

「そうかなと思っていますが飲んでいます」

新澤

「時々は、薬を飲まずに寝てしまうことありましたよね」

マッサン

「はい、そんな時は重力にまけてぺしゃんこになってました。でも、最近は大丈夫な気がするんです」

ミチコ

「私は、最近は、眠れるまで起きていようって思っています。もともとは不眠症で困っていたんですよ。2年半ほど先生に眠れる薬を処方してもらっていました。それを飲むと30分位で眠くなっちゃうんです」

みんな

「いいなあ」

ミチコ

「それがねえ。見たいテレビがあるのに眠り方が不自然で苦しいような感じで寝るんです。グーって引き込まれるのが嫌でと先生に言ったら、無理に飲まなくってもいいよって」

新澤

「ドクターも飲まなくていいよと……」

ミチコ

「それで、飲むのをやめてみた。当たり前だけど、飲まないと眠くならないんですね。まあ、今まで見られなかったテレビ番組を見たり、本を読むのもいいかなと思って過ごしているうちに、3日目には、よく眠れたんです」

新澤

「眠剤が強くて、読みたくても本が読めないっておっしゃってたこともありましたね」

ミチコ

「はい、本が読めるようになりました」

新澤

「その代わり、眠れないのは仕方ない?」

ミチコ

「そうですね。眠れなくてもだいたい3日経つと、明かりを消すと、すっと眠れます……そういう時は嵐の櫻井翔君と会う夢を見たりします(笑)」

新澤

「そうか。ミチコさんの場合は1~2日ならば、あまり眠れなくても調子が崩れないのかもしれないですね。みんなどんな夢をみるの?」

馬渕

「こんにちは。最近、ゲストで来ている馬渕です。会社を辞めて5年経つんですけど5年間毎日会社のトラウマ的な夢を見ます。起きても嫌な感じはするけどあとを引くことはないです。先生に話したらそれはもうトラウマだよって。今はもう怖がってないけど脳は記憶をしているみたいで……」

新澤

「追体験の途中なんですかね」

馬渕

「先生は夢で頭を整理しているって言っていました。実際、体には害はないですし」

犬太郎

「僕はだいたい面白い夢です」

マッサン

「僕も、最近は夢を見るようになりました。幸せな夢を見ます。ハッピーな。親父も出てくるんですけどお袋は大概出てきます」

新澤

「昔の楽しいころの夢ですか」

マッサン

「不思議なストーリーです、抽象的な、人間て不可思議なストーリーの夢を見るじゃないですか。昨日の晩は女性が出てきたのです。女性が出てくるって言うのは僕にとってハッピーです」

新澤

「みなさんは夢を見ますか?」

kagesan

「見ます。毎日」

田中

「たまに」

新澤

「僕も、この前、昔のメンバーが夢に出てきたんですよ」

フミ姫

「夢は見ますね。楽しい時は楽しい、悲しい時は悲しい、現実的な夢を見ます」

小川

「僕は人と話をしている夢を見ました」

新澤

「楽しい夢?」

小川

「辛い夢です。はははは」

犬太郎

「夢見てる時もああこれ夢だってわかるときがあります」

コノンちゃん

「ある」

みんな

「あるー」

マッサン

「大概そういう時目が覚めてるんじゃないですか。寝ているときにこれやりたいのにって考えている」

今回も歌を作ってみた

さて翌週

新澤

「今回の新聞部のテーマは『眠り』でした。それで今回はまた曲を作ろうと思います。さっきも金ちゃんさんとギターやってみました。何とかなりそうですかね」

金ちゃん

「何とかなります」

新澤

「よかった。じゃあ、歌詞。今回も久保田さんがみんなの言葉を字数を考えながら、並べてくれました。これを元に歌いやすいように直してみよう。『眠剤飲んで夜中に起きたらフラフラ』は誰の歌詞だろう」

小川

「眠剤飲んで骨折しました」

田中

「そういえばこたつの角に足をぶつけてって言ってたねー!」

新澤

「『厠(かわや)で寝る』っていうのは?」

久保田

「トイレをちょっと気取って『厠』にしました」

みんな

「(笑)」

久保田

「言っている人が3人位いました。kagesanさんと、犬太郎さんと……」

小川

「(手をあげる)」

金ちゃん

「僕、ギターやります」

ミチコ

「ボーカルは大丈夫です」

新澤

「前回出演したことで、みなさん家族からクレームはないですか、大丈夫でしたか」

ミチコ

「大丈夫です」

田中

「入院はしないのでベース弾けます」

新澤

「マッサンは?」

マッサン

「歌しかできないですよ」

みんな

「踊れば?」

マッサン

「踊り手ねぇ……」

新澤

「パーカッションは久保田さん」

久保田

「はい!」

マッサン

「踊り、やりますかねぇ。他に芸がないですからねぇ」

新澤

「犬太郎さんも来れたらどうぞ」

犬太郎

「踊ります」

新澤

「そうだ。kagesan!前回、kagesanの動きに炎のアニメーションを入れましたが、また、派手にアクションやってみますか?」

kagesan

「とんでもない。あれなんですが、加工にしてもらって、ホントによかったです」

新澤

「ふうん。僕はカッコいいと思ったんだけど、kagesanにとってファックサインのイメージって」

kagesan

「プロレスですねえ。外国人レスラーに日本人レスラーが挑発している。かかってこいや~!!みたいな」

みんな

「(笑)」

kagesan

「だから、やった時はスカッとしたけど、うちに帰ってこれがYouTubeに載るのかと考えたら、やめればよかったと思ったんですよ」

新澤

「どうして」

kagesan

「だって、挑発を本気にした人が、殴りに来たら困るもの。それからというもの渋谷とか行かなくなりました」

新澤

「そうか。喧嘩になっちゃうか」

kagesan

「えー? 新澤さんは、隠さない方がよかったと思ってる?」

新澤

「うーん。kagesanが中指立てたかったのに、それを隠しちゃうのは嫌だなと最後まで思ってた」

kagesan

「いやいや、隠してもらわないと(笑)」

新澤

「わかった。でも、今回もかっこいいパフォーマンス期待してます」

kagesan

「がんばります」

新澤

「小川さんは、来れる?」

小川

「ほほほほ」

新澤

「あれ、来ないんですか?」

小川

「タンバリンと太鼓ドンドンドンってばちでたたくと良いよ」

久保田

「アドバイスだった(笑)」

新澤

「収録時は来てね」

小川

「ははははは」

フミ姫

「ピアノみつかった?」

新澤

「フミさん本当はピアノがあると良いんだけど、今ないんですよ」

小川

「ピアノの代わりにピーって笛が良いよ。タイミングいいから」

新澤

「だから、助言じゃなくて小川さんがやって下さいよ」

みんな

「(笑)」

新澤

「DRG57さん、やるから見守っててね」

DRG57

「何を」

新澤

「音楽の演奏。横で聞いてみて、良かったら参加してくださいよ」

DRG57

「……見るだけにして、演奏は辞退します」

そんなわけで8月の最後の水曜日、出来上がった歌を収録しました。(kagesanは残念ながら欠席でした)

タイトルは『不夜城サンバ』。お楽しみください!!

不夜城サンバ
作詞・作曲・演奏 ハーモニーバンド

眠剤飲んで 夜中に フラフラ
辞めてみようかな やっぱり飲もうかな
夜食を食べたら なんだか 眠れる気がする
テレビ見たいけど もう7時だ 寝なくちゃ


ねむれ ねむれ ねむい ねむい
ねむれ ねむれ ねむれば
ねむれ ねむれ ねむい ねむい
ねむれ ねむれ ねむれば

イタリア製 一万円 安眠枕
ボーっとして 朝まで厠(かわや)で熟睡
あの薬はダメ 中途覚醒
フラフラ 中華屋 野菜炒め ぶちまける

くりかえし

会社辞めて5年たっても 夢に出る
眠れなくても 3日目に眠れます
躁転して 夜通し ライブ配信
しまった!
薬が効きすぎた 金縛り

くりかえし

(ネムーレ!)

眠れないの アモーレ!
夜中に覚醒しちゃうの (ネムーレ!)
眠れないの アモーレ!
夜ふけの 大そうじ

眠れないの アモーレ!
みんなに電話 しちゃうの(もしもし!)
眠れないの アモーレ!
朝まで 大騒ぎ!!

そりゃ 入院だー!!

撮影と編集:佐々木誠

編集後記

今回の眠りをめぐるハーモニーのミーティングと歌は、いかがだったでしょうか。予想した通り、メンバーの多くが眠りで困っているようでした。病気の経過のなかにも不眠と過眠の時期があったり、処方される睡眠薬によっても期待したほどの効果がなかったり効きすぎたりと苦労が尽きません。

だから、ハーモニーの3つあるソファーは横になって、うたたねしている人で埋まっています。ミーティングの時も自分が話すとき以外は瞼が下がっている人もチラホラ。

作業用のテーブルに突っ伏して寝息を立てながら、ミーティングに参加していた人もいましたっけ。

世間に一つくらいは、熟睡したまま参加できる<施設>があってもいいんじゃないかしらと私は思います。今のところ、「インド時間の人」も「エジプト時間の人」も「チリ時間の人」や「木星人」もウェルカムですよ。


Series

連載:いたずらに人を評価しない/されない場所「ハーモニー」の日々新聞