福祉をたずねるクリエイティブマガジン〈こここ〉

【イラスト】夕暮れどきのサバンナに、キリンやゾウが歩いている。その景色を背にして、記念撮影をするハーモニーメンバーとテンギョーさん。【イラスト】夕暮れどきのサバンナに、キリンやゾウが歩いている。その景色を背にして、記念撮影をするハーモニーメンバーとテンギョーさん。

「アフリカのこと教えてテンちゃん」ボツワナ滞在中のテンギョー・クラ氏とハーモニーメンバーによる対話 いたずらに人を評価しない/されない場所「ハーモニー」の日々新聞  vol.15

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ふしぎな声が聞こえたり、譲れない確信があったり、気持ちがふさぎ込んだり。様々な心の不調や日々の生活に苦労している人たちの集いの場。制度の上では就労継続支援B型事業所「ハーモニー」。「ハーモニーの日々新聞」と題し、そこに関わる人の日常・出来事をよもやま記していただく連載です。(編集部 垣花)


5月の新澤との対談(※注1)に引き続き、<日々新聞>でも、ハーモニーのメンバーとテンギョー・クラさんのトークをお送りします。

2017年のTURN交流プログラムでの出会いから6年。いろいろなことをして遊んできました。

<長い周期で巡りくる彗星>のように到来するテンギョーさんとハーモニーの次なるテーマは「アフリカ」です。

今回は、ボツワナの首都ハボローネに滞在中のテンギョーさんとZoomを繋いでトークを行い、アフリカの魅力や、タトゥーの秘密、彼がめざしている「アフリカンジャンボリー」などについて聞きました。

私たち流の「汎用性のない個人的な関係=友達ベース」(※注1)と、愉快なやりとりをちょっとだけご覧ください。

※注1 ともだちってなんだろう? 答えを出す必要はないけれど。新澤克憲さんとテンギョー・クラさんの対話から考える こここインタビュー vol.20


テンギョー

「どうもどうも! おはようございます。朝の8時まわったとこです」

新澤

「アフリカは朝ですか! こっちは夕方です」

テンギョー

「だれか涅槃像みたいな人がいる!」

新澤

「横になってるのは小川さんだよ。アフリカと東京と小川家の3元中継です。小川さんの画像がときどきぼやけるのは勘弁ください。こっちは、みんないます」

テンギョー

「すごいなー。オールスターじゃない」

新澤

「小川さんと姫さんのほかには、フミ姫さん、小さいEさん、こまねずみさん、まっさん、金ちゃん、kagesan、田中さん、まさるさんです」

【写真】画面が4分割されている。左上にはハーモニーメンバーが4名、右には1名、左下にテンギョーさん、右下に小川さんがうつっている

ボツワナってどんなところ?

みんな

「テンちゃん、そこはどこですか?」

テンギョー

「アフリカの南の方にあるボツワナという国にいます」

新澤

「今日は来ていないメンバーたちもボツワナには動物がいるのか知りたがっていましたが、どうでしょう」

テンギョー

「ボツワナは野生動物がめっちゃ多いんだよ」

小川

「サバンナ」

テンギョー

「そうそう。サバンナもあるし、砂漠もあるし、象の人口密度が高い国。動物いっぱいいます。哺乳類だったら人間より動物の方が多いって言われてる。

人口250万くらいで、国土がだだっぴろい。車で少し走ると木がおいしげってるところに出ます。気候は今ちょうど秋口で過ごしやすいよ」

新澤

「今、後ろに映っている部屋は?」

テンギョー

「借りている部屋だよー。ここは首都のハボローネって言うところで、人口密度は高い。野生動物は歩いていることはほとんどない。あ、でもサルはレストランの庭とかに住んでいて、お客さんが残したものを食べに来る。

のんびりしていてボツワナはアフリカでも平和な国の一つ。人々はおだやかでフレンドリー。かつてアパルトヘイト(※注2)が無かったボツワナにアパルトヘイトで苦しむ人たちが隣国から逃げ込んで来た時、『これから一緒にボツワナ人として生きていこう』と言ってその人たちを受け入れた背景があるくらい友好的な国なんだ」

※注2:南アフリカが1948年から1990年代初めまで実施した、法によって定められた人種隔離と差別の制度。

アフリカンジャンボリーってなに?

「そういえば、そもそもどうしてアフリカにいるの?」

新澤

「ミチコさんも、どうしてアフリカに魅かれるのか知りたがってましたよ」

テンギョー

「オレは昔、教師だったのね。もう20年くらい前。教師になった時のイメージとしてはいつかアフリカの子どもたちに教えたいなって言うのがあって、5年前にそのチャンスがやってきてアフリカに来てみたんだ。

ハーモニーのみんなと会ったのは、そのちょっと前なんだけど、その頃から東京都の文化事業で国内のいろんな福祉施設を回ってたんだよね。その時『障害がある』とされる人たちとたくさん出会ってその人たちから色々学んだんだ。だからアフリカでも一人で調べて、色々な福祉施設に連絡入れて訪ねてたの。どこからも頼まれずお金をもらったりもせず、自分で勝手に行って、福祉施設にいた人たちと友だちになったよ。

その時に日本にいる『障害がある』とされるオレの友だちとアフリカにいる友だちが会える機会があれば良いなって思ったんだ。

浜松にある障害福祉施設『たけし文化センター』にオレが勝手に弟みたいな存在だと思ってる『たけし』って男性がいるんだけど、彼をアフリカに連れて行ったらどうだろう、爆音大好きだから太鼓どんどこどんどことか鳴ってるのをアフリカの大地で聞いたら喜んで踊りだすんじゃないかって考えたわけ。それで、ここ最近は本格的にアフリカの友だちに日本の友だちを受け入れてくれるか、こんなことを考えているけれど2025年に日本からオレの友だちがアフリカに来たら一緒に遊べるかな?って確認している。

ハーモニーのメンバーも、もしかして来たい人がいたら2年後に来れるように準備がしたいと思ってるよ。

と言ってもね、みんながみんな来る必要もないんだよ。

それにアフリカに興味がなくてもいいの。世田谷とか東京に住んでるアフリカ人にハーモニーに来てもらって、ハーモニーのメンバーがアフリカの豆を使ったコーヒーを淹れたりするパーティーとかね、そういうことでもいいのさ。せっかく今オレがアフリカにいるからそういうことをやってね、アフリカとハーモニーの皆んなが近づいたらなぁって。そういうことの総称として『アフリカンジャンボリー』って名づけて今やろうとしているところです」

新澤

「なるほどね。すごくよくわかったよ。話を聞いて、どっちかっていうとチャランポランな風来坊のイメージが強かったテンギョー・クラについて『ひょっとして、我々が気がつかなかっただけで、あいつは本当は真面目でいい奴なんじゃないか?』って、驚きと感動の波にハーモニーが包まれているのを感じています」

テンギョー

「ちょっと、かっちゃん!その翻訳は正しいの? みんなホントにそう思ってるの?かっちゃんの発言、絶対みんなの本心との間にギャップがあると思うよ!(笑)」

新澤

「ふふふ。独断と偏見(笑)」

アフリカのこと教えて、テンちゃん

フミ姫

「私、暑いのが苦手なんですが、アフリカは暑いですか?」

テンギョー

「アフリカは赤道直下で、ずっと暑いっていうイメージだと思うんだけど、例えばボツワナとかナミビアとか南アフリカとかそういう国々はアフリカ大陸の下の方、南半球になるんで、季節はみんなのいる日本と真逆なんだ。だから6月くらいからどんどん寒くなる。今は毎晩毛布にくるまって寝てるよ。なんなら日中でもダウンジャケット着ます」

フミ姫

「暑がり屋はダメですよね」

テンギョー

「むしろ今来ると良いかも。日本の夏の暑いのを避けてアフリカ来るって言う手がありますね」

小さいE

「テンギョーさん、アフリカのコーヒー事情を教えてください」

テンギョー

「コーヒーですね。皆んなもしかしたらどっか聞いたことあるかもしれないですけど、キリマンジャロっていう種類があるんですよ。

あれはタンザニアとケニアの国境あたりのキリマンジャロっていう高山の麓でとれるコーヒー豆。コーヒーって色々条件あるけどけっこう高地で美味しいのができるって言われてる。ある程度夜と昼の寒暖差が大事なんですね。ルワンダっていう国の名前を聞いたことありますか?」

小さいE

「あります」

テンギョー

「ルワンダもコーヒー豆で注目されてる。ルワンダも高地があるんです。適度な雨量も温度差もあってね、そういうところで良いコーヒー豆が育つ。今、僕が滞在しているボツワナではコーヒー豆栽培は聞かないなぁ」

小川

「昔、聞いたことがあるんだけど、シカの脳のハンバーグ食べるって」

テンギョー

「えーーー!オレの知ってる限りでは全然見たことない!すごいな、どこでそんな情報を知ったの?」

小川

「テレビ」

テンギョー

「もしかしたらオレの知らない国のレストランの話かな。オレはよく道端の屋台で売ってるトウモロコシの粉で作ったおかゆとか鶏肉とか牛肉を食べてますよ。シカの脳みそは食べたことないねー(笑)」

小川

「そうか。ありがとう」

金ちゃん

「テンギョーさんの送ってくれる写真を見ると、アフリカの人って目が輝いてる。日本人より明るい感じで、なんであんなに明るい感じなんでしょう?」

テンギョー

「これはなんて答えたらいいんだろうなぁ。笑顔が明るい人たちって日本にもいるし、世界中にいるから特別なことではないと思うんだけど、オレが写真を撮る時は笑顔の瞬間にシャッターを切るから、イメージとしてそうみえるのかもしれないね」

金ちゃん

「撮られた人がたまたま笑ってた?」

テンギョー

「オレと写真を撮られる人のコミュニケーションの間でそういういい笑顔を見せてくれる瞬間があった、っていうことかな。オレの経験上アフリカには人懐っこい人が多くて、よく来たなー兄弟!って、初対面の人でも打ち解けてくれることが多いね」

テンギョーはケンカするのか

蒙古馬に乗るテンギョーさん
金ちゃん

「諍い(いさかい)とかないの?」

テンギョー

「よく言われる黒人差別だけじゃなく逆にアフリカ系の人がヨーロッパ系の人を差別したり、アフリカ系の人同士でも部族間で争ったりとかあったし、平和な時ばかりじゃなかった。平和じゃないんだけど、その中でも争いが起きた時に殺し合いとか暴力じゃなくて誰も死なないように問題を解決しようという伝統があったらしいんだよね。

例えばタンザニアにはかつて部族間の争いの時にやったゲームの名残りが残ってる。戦いの代わりにゲームの勝ち負けで紛争をおさめたんだって。

今も部族間とか人種間での争いが社会問題として日々ニュースになってるけど、暴力による解決は避けてほしいですよね」

kagesan

「どうもkagesanです。テンギョーさんの武勇伝を聞かせて欲しいんです。悪い奴をやっつけた話とか」

テンギョー

「武勇伝!?オレ、ケンカとかしないしなぁ(笑)」

kagesan

「ほんとう?」

テンギョー

「本当だよ(笑)。海外にいて個人的な争いに巻き込まれることはほとんど無かった。ごくまれにその国のことをよく知らないまんま危ない地域にいって襲われたことはあるけど、無事やり過ごしたし。ケンカでやっつけたって言うんじゃなくて、うまいこと逃げたって言う感じだよ」

kagesan

「ふうん。それじゃ日本では、闘うの?」

テンギョー

「……だからオレは闘わないですよ(笑)。基本ピース&ラブなんで」

kagesan

「そうですか~」

新澤

「kagesanさんのイメージではテンちゃんは殴りあって争ってるかんじなんですか?」

kagesan

「はい!」

テンギョー

「(笑)。人生の中で一瞬だけ、自分がどれだけ強くなれるかっていうことに興味があって格闘技を習っていた時期があった。スポーツとして闘うことに関心はあったね」

kagesan

「やっぱり、そうだ!」

テンギョー

「でもそれで街でケンカをやってみたってことはないのです。ごめん!」

kagesan

「意外です。過去にすごい経験があるんじゃないかって思ってました」

テンギョー

「小さい頃からケンカになりそうでも上手にはぐらかして、殴り合いにならないようにしてたね。オレは身体の痛みに対しては結構耐えられるんだよね。様々な痛みがあるじゃない? 格闘技だと殴られるだけでなく関節をきめられた時の痛みに耐えるとかね。

でも実際に殴り合うことには興味がなくて、自分の心の中の恐怖とか不安とか相手に対する怒りとか、痛みに対する我慢とか、そういう自分の中に起きる変化の方に興味がある」

新澤

「さっき、部族間では実際の闘いにならないような知恵があるようだと教えてくれたけれど、紛争に巻き込まれたときにうまくかわすテンギョー流の逃げ方のコツはあるのかな」

テンギョー

「争って言うか個人間のいざこざで言うと、それは相手の言っていることが何なのかを理解して、何に対して怒っているのか、何に対して気が済まないのかを理解して、そこに対して気を済ませられるのか、謝るじゃないけどオレはそこは譲るつもりがあるよって伝える。ただね、相手がオレより強いんだって示したいんだったら実際に殴られて参りましたってするんじゃなくて、あなたはあれもできるしこれもできるし実際強いよねって。なんでそれをわざわざ暴力で証明する必要があるのかいって問うね」

kagesan

「やっぱり、けんかはしてこなかったんだ……」

テンギョー

「ケンカはどっかの時点でエゴの張り合いになるから。エゴの張り合いに巻き込まれちゃうのはもらい事故みたいなもので損するだけ。総合格闘技っていうスポーツをアメリカで習っていた時、オレの先生はナイフや銃など武器を使った戦い方も教えるような人だったんだけど、彼に何度も言われたのは『襲われたりケンカに巻き込まれそうになった時にもし1%でも逃げられる可能性があったら絶対逃げろ』ってこと。

相手が自分より弱そうに見えてこれなら勝てるだろって思ってケンカしちゃったとしてね、相手の頭を殴ったらこっちの手の骨が折れるかもしれないし、相手が恐怖で自分をコントロールできなくなって本気でオレの目をえぐってくる可能性だってある。殴り倒したとしても割に合わないケガをするかもしれないし、ケンカに勝っても相手をケガさせたら犯罪になって捕まるわけだから何にもいいことがない。

結局、手を出しちゃうっていうのはオレの中のエゴだよね。オレならこいつに勝てるとか馬鹿にされて悔しいから痛めつけてやるというエゴ。ケンカはエゴのコントロールができれば本当はしなくて済むと思います」

kagesan

「そうか。けんかをしないんですね」

テンギョー

「そうなんです。オレが言いたいのは争いを避けろと。逃げろと。武勇伝がなくてゴメン!」

謎の生命体 テンギョー

テンギョーさんの似顔絵。左は前回の連載時のもの、右が今回のもの

「テンちゃんさ、頭にタトゥーいれたの?」

テンギョー

「うん。オレはもともと脚に四角いタトゥー入れてたんだ。その始まりは虫さされの痕だったんだよ。南米とかアフリカとか日本にもいるけど、ノミとかダニや南京虫とかに刺されて、体質的にアレルギーがあるのか分からないんだけどその痕が消えずに黒いシミみたいになるのね。

その痕がけっこう脚にあってさ、これを何とかできないかとある時考えたわけ。その時はヨーロッパのラトビアっていう国にいたんだけど、これは黒の四角いタトゥーを入れたらしっくりくるなっていうイメージが降りてきて、すぐラトビアでタトゥーイストを探して。

『こういう風にやってみたいんだ、虫刺されの痕を使って黒いタトゥー入れたいんだ』と伝えてやってもらったの。それがちょうど10年前くらい。

それで虫に刺されるごとに黒い四角が増えていった(笑)」

「それで頭にも虫刺され?」

テンギョー

「いやいや。タトゥーが増えてくると、バランス的に頭に最後入れてなんかこう、自分としてはどこから来たか分からないような、謎の生命体みたいになるの面白いかなーと思って」

みんな

「なんなんだ?!バランスって意味わからん!」

テンギョー

「だから頭は虫刺されの痕はないわけ。それでボツワナにめちゃくちゃ腕の良いタトゥーイストの友人がいて、今回ボツワナ来る前に彼女に『頭に入れたいんだよね』って言ったらすごく喜んで『ぜひやらせて!』って言ってくれたんだ。彼女は勘が良いから彼女のインスピレーションでこうかなこうかなってその場でデザインしてもらって。アンノウンな感じで」

新澤

「究極の謎の生命体に近づいているわけだね」

テンギョー

「頭のタトゥーが完成した時に、オレは元々こういう生き物だったんだなってしっくりきた」

新澤

「ほっぺたにもタトゥーあるけれど、それも?」

テンギョー

「ほっぺにシミがあったんで、でっかいの。それを元にして入れてもらった(笑)」

新澤

「てっきり、アフリカの民族とか宗教的な意味のあるタトゥーかと思った」

テンギョー

「ないんだなー(笑)」

テンギョーの謎に迫る

「テンちゃんはさあ、世界中を旅しているけれど、その時の生活費とか飛行機代はどうしてるの?」

テンギョー

「日本にいる時の例だと、オレのヴァガボンドのライフスタイルが面白いって言ってアートプロジェクトやアートフェスティバルに呼んでくれる人たちがいるんだ。

そうして呼んでくれたところに一定の期間滞在しながらプロジェクトをやる。そうすると謝金が出るでしょ。それをできる限り使わないようにして自分の活動費に回してるよ」

「そういう時は何処に住むの?」

テンギョー

「オレに声を掛けてくれる福祉施設とかNPO法人が、レジデンスを持ってる場合があるんだよね。例えばAという福祉施設とのコラボレーションだったら、プロジェクトの一環としてそのAに通う人たちが暮らすシェアハウスやグループホームに一緒に住んだり」

新澤

「なるほど。どうやって生活してるかはサイヤ人さんも気にしていた。そういえば、西成のココルームにも滞在していたでしょ。大阪では働いてた?」

テンギョー

「うん。ココルームにいた時は、その時一番楽しいと思ったことをオレの仕事としてやらせてもらっていたけど、その間にも働いたお金をなるべくセーブしてたよ。ココルームはカフェとゲストハウスを運営していて、その時の状況にもよるけどスタッフは食事をシェアできたりして生活費があまりかからないんだよ。オレみたいなヴァガボンドには有り難い職場だったな。

それからオレの生き方に賛同してくれてる友人たちが『好きに使って』って海外での活動資金を提供してくれたりね。オレを応援して支えてくれる友人たちには本当に感謝してる。

とはいえ、アフリカは国によっては物が安くなかったりするんだよ。ボツワナは結構物価が高くて。スーパーに行って食料品を買おうとしたら日本とあんまり変わらない。今は収入無しで持ってるお金を使ってるだけだから、そこは気をつけてるよ、なるべく使わないように」

「がんばれ」

テンギョー

「サンキュー!」

こまねずみ

「ボツワナについての話があったのでそれでも十分なんだけど、ひとくちにアフリカというけれど、それぞれの地域での人々の身体的だったり文化的だったりする差などあるのか気になりました」

テンギョー

「外から来たオレには分かりにくいことも多いんだが、部族によって身長差があるのとかは分かる。ブッシュマンっているじゃない。ボツワナとナミビアにいるサン族のことなんだけど、動物を追いながら生活しているノマドの人たち。彼らは顔見たらだいたいサン族だって分かるかな。他の部族は顔の作りは分からないことが多い。同じアフリカ人同士だったら同じように見えても違いが分かるんだろうね。頬骨とか目とか身長差。背の高い部族、背の低い部族とか身体的に結構違いがあるんじゃないかな」

田中

「活動していることを聞きたいんですけど。コミュニティに受け入れられてるってテンギョーさんは何か技術を持ち込んで受け入れてもらってるんですか?海外協力隊みたいなイメージなんですが」

テンギョー

「特に何か技術を持って呼ばれてるわけじゃないんだ(笑)。アフリカに行くときは自分で勝手に決めていくわけだから、行きたい所へ飛び込んで行って、その土地でたまたま出会った人たちとの友情関係でその土地の文化にダイブしていくって感じかな。

今回のボツワナみたいにたまたま政府とアーティストと福祉施設と協力しながら企画を生んでいくこともあるけれど、場所によってはすることが何にもなくって自分で毎日をどうやって生きていこうかなって考えながら暮らしているだけの時もある。だから自分がそこで何をするかは実際に行ってみないと分からない。

だから、押しかけるけどミッションはないわけ(笑)。何者でもない存在としてそこに行って何かが起きる時もあるし、何も起きないときもある。田中さん、またコーヒー飲みましょう!」

新澤

「アフリカ行きたいですか?」

田中

「行きたいですね」

テンギョー

「田中さん、たばこ吸うでしょ? 一番の問題は長距離の飛行機の移動でたばこが吸えない時間かな。でも乗務員に『酔い止めください』って言ったらずっと寝てられる薬をもらえるよ。眠剤入ってるのかよく分かんないんだけど、機能としては寝ちゃえる。気が付いたら次の空港に着いてたってなる。タバコが吸えないのがしんどいというのであればそういう手段もあるよ」

まさる

「こんにちは! アフリカってざっといくらの予算なの?」

テンギョー

「今の航空運賃はねぇ……割高感があるんだが、一応10万前後とか相場かな、片道で。目的地がアフリカのどこかで変わってくるけど。南アフリカのヨハネスブルグがアフリカのハブ空港の一つでアジアからの直行便が多く出てるよ。アフリカの北の方ならエチオピアのアジスアベバが便利。運賃だけで言うと往復でざっと20万弱くらいだろうかね」

新澤

「ちょっと思ったより安い感じかな」

テンギョー

「あとはどこにどのくらい滞在するかだよね。1週間の滞在費と食費。それが最低限の旅費になるのかな」

まっさん

「テンちゃん、ひさしぶり! そちらには電気とかガスはあるの?」

テンギョー

「それはどこにいるかによって変わるよー。国もそれぞれ違うし、国の中のどこに行くかでも変わる。冷蔵庫が無いところもある。マダガスカルでも最初住んでた部屋には無かったな。ガスがないところもあった。シャワーが水だけのところはよくあるね。トイレも家の中じゃなくて歩いて行って掘っ立て小屋みたいなところとか」

まっさん

「太陽から逃げるのに日陰しかないの?氷もないでしょ?」

テンギョー

「暑さ対策ってことかい?家によってはエアコンとか扇風機とかあるよ。今いるハボローネはときどき停電はするけど電気はちゃんとある」

まっさん

「テンちゃん!ちょっと聞きにくいんだけど。世界中を駆け巡った中でラブアフェアとか艶っぽい話はないの?」

みんな

「待ってました(笑)」

テンギョー

「まぁ……あります(笑)。出会いがあるからね。個人的に特別親しくなれる人って何人かいて。セクシャルなっていうより不思議な絆、家族のように受け入れてくれたり、恋人のように受け入れてくれることがね」

まっさん

「さっき一言返事してくれたからわかったよ。熱い雰囲気を持つことがあるってこと。そういう人に出会うことがある?」

テンギョー

「ありますよ」

kagesan

「まっさんありがとう、俺の聞きたかったことを」

テンギョー

「kagesanさん!おれの武勇伝と恋バナを聞きたかったの?!(笑)」

kagesan

「そう」

新澤

「話は尽きませんが、すでに時間を大きく超えてしまいました。テンちゃんからみんなにメッセージはありますか?」

テンギョー

「久しぶりに皆んなの顔が見られて嬉しかったよ!ちょっと半分悔しいなぁ、そこに行きたくなっちゃった(笑)。ヴァガボンドらしからぬ感じだけどハーモニーが恋しくなったね。

実は今年の10月からさいたま国際芸術祭に参加して2ヶ月ほど埼玉に滞在するんだ。かっちゃんにもトークセッションの登壇者としてきてもらうからね。その時にでもね、またコーヒー淹れに世田谷行きますよ」

新澤

「待ってます。テンギョーさん、今日はどうもありがとうございました」

テンギョー

「じゃ、皆んな良い週末を!!」

みんな

「またね!!」

【写真】ZOOMの画面のテンギョーさんを囲んで、ハーモニーメンバーが記念撮影をしている

編集後記

前回の新澤との対談に引き続き、テンギョーさんとメンバーのトークをお送りしました。メンバーのみんなにも、せっかくだから、聞きたいことをまとめてみたらと提案したら、思い思いの質問を持ち寄って集まってきたのでした。なかなか楽しいトークになったと思いますが、いかがだったでしょうか。

新澤との対談の中でも意気投合した「責任を引き受け過ぎない友達ベース」や偶然の出会いが導く豊かな関係への思いがメンバーたちとのやり取りの中でも、変わらず脈うっていたのはうれしいことでした。

福祉の現場は何かに困窮したり、サービスを必要とする人たちのために開かれているのは当然ですが、限られた人間関係の中でだけで閉じることが良いとは思えません。

長い軌道を描いて巡りくる彗星のように時折やってきては、コーヒーを淹れながら遠いアフリカの話をしてくれるテンギョーさんとの交流に今後も期待しています。次回は、テンギョーさんがアフリカの子どもたちと作った「かるた」を紹介してもらいましょう。(新澤)


Series

連載:いたずらに人を評価しない/されない場所「ハーモニー」の日々新聞