
「待つ」を大切にするには? 障害のある人の挑戦を後押しするアール・ド・ヴィーヴルをたずねて こここ訪問記 vol.24
子どもが「料理を手伝う」と包丁を握って台所に立ったとき、子ども用の小さな包丁で苦心しながらにんじんを切る様子につい「かわりにやろうか?」と声をかけてしまう。
進行役をしていた会議が終わったときに「今日はずいぶん早く終わらせたね」と声を掛けられてハッとした。もしかしたら「他に何かありますか?」と私が問いかけた後の間が短かったせいで、発言できずにいた人がいたかもしれない。
こうして「待つ」ことで生まれた可能性や「待てなかった」ことで奪ってしまった何かに思いを馳せながらも、日々の暮らしの中でついせかせかとしてしまい、「待つ」ことができないでいる。どうすれば「待つ」を大切にすることができるのだろう?
小田原にある障害福祉事業所「アール・ド・ヴィーヴル」のコンセプトブックには「支援員は〈待つ〉プロフェッショナル」という言葉がある。
「しばらくやりたいことが決まらなくても、急ぎません。時間がかかっても大丈夫。いずれ時が来れば、どんな人もやりたいことが見えてくるから。そしていつかは、やりたいことを自分で見つけられるようになるのです」
そこに書かれた文章を読むと、私のペースを受け止めてもらえているようで、ホッとする。アール・ド・ヴィーヴルではどのように「待つ」を実践しているのだろう?「待つ」を大切にするには?という問いを携えて、アール・ド・ヴィーヴルを訪ねた。
天井が高く、窓も大きい「アトリエ」
小田原駅からバスに揺られて10分。「日本たばこ前」のバス停で降り、数分歩くと白が基調の建物が見えてきた。木目調の扉へと続くスロープの手すりの色は黄色。入口にある、アール・ド・ヴィーヴルのロゴの下にある、コーヒーのイラストとcafeの文字が描かれた看板も黄色なのが印象的だ。
扉を開けて中へ足を踏み入れる。
「どうぞ、ゆっくりしていってくださいね」
声を掛けてくれたのは、アール・ド・ヴィーヴルの理事長、萩原美由紀(はぎはら みゆき)さん。早速「アトリエ」を案内してもらう。
天井が高く、窓が大きい空間。開放的で、自分の頭の中のイメージをどんどん広げていけそうだ。イラストを描く人、文字のデザインをする人、フィギュアのパーツをつくる人、ひたすら鉛筆を削る人、機織りしている人。L字型の大きなひとつの空間の中で、それぞれが創作をしている。
萩原:やりたいことも、当日スタッフと相談して自分自身で決めます。それに朝来た時どこに座るかも、その日の気分でみんな好きなように選んでいるんです。
ここにいる人の多くは、毎日通っているのではなく、週に3日ほどアール・ド・ヴィーヴルに足を運び、他の日は別の場所で違う作業をしているそう。
創作を眺めていると、使っている道具もさまざまなことに気づく。水彩絵具、色鉛筆、油性ペン、クレヨン、樹脂粘土など。中には、100均のグッズを駆使して独自の刷毛をつくって使っている方も。
そこにいる人たちは、雑談したり、創作しているものに対して感想を伝えあったりしている。でも、誰かが誰かに一方的に指示・指導する場面は全くない。人と人がなんだかちょうどいい距離感でいるように感じた。
「ほっといているけれど、実はスタッフはすごく遠くからも見守っているんですよ」と萩原さん。
スタッフ。そう話す通り、アール・ド・ヴィーヴルは、障害福祉事業所として、生活介護・就労継続支援B型事業を運営していて、ここにはサービスの利用者とサービスを提供するスタッフがいる。
アート活動を中心に「自分らしく生きる」ことを支援のミッションとするアール・ド・ヴィーヴルのはじまりは、1990年。神奈川県西地域に住むダウン症児の親の会「ひよこの会」がその前身だ。「ひよこの会」の役員と有志が集まって、2013年にNPO法人アール・ド・ヴィーヴルを設立。2016年に障害福祉事業所としてアート活動を仕事にする事業を始め、2021年にギャラリー・カフェを併設した事業所を開設した。
「支援員は<待つ>のプロフェッショナル」。そう書かれたコンセプトブックの言葉を頼りに訪ねてみたけれど、ここには「何かを待っている人」がいるようには見えない。「待つ」がうまい人は「待っている」ように見えないのだろうか。
ここで働く支援員は「待つ」をどのように捉え、実践しているのだろう。
はじめましての人ほど、声をかけない
「<待つ>のプロフェッショナルという言葉を、どう受け取っていますか」。
支援員の渡邊菜美さんに投げかけると「その文言をみるたびにプレッシャーを感じています」と笑う。「自分は果たしてそうなれているだろうか、今どうかなと立ち返るきっかけにもなっている」と話す渡邊さんにとって、理想的な「待つ」はどのような状態なのだろうか。
渡邊:利用者さんから出てくるものをうまく拾いたいと思っています。出てくるときに、こちらから手を差し伸べることで出るパターンと、本人から湧き出るパターンがある。その見極めができることが理想です。
「出てくるもの」とは、作品や表現はもちろん、その人から発信されるものを指している。今どれぐらい手を差し伸べてもいいか、その加減がわかることが、渡邊さんにとっての理想の「待つ」のあり方のようだ。
そんな渡邊さんは「はじめましての利用者さんほど声をかけない」と話す。
渡邊:その人がどういうときにどういうことをするのか、どういう発信をしてくれるのか、そういうことが一番気になります。見てはいるのですが、あえて声をかけないこともあるんです。
だんだんその人のことがわかってきて、こういう風にアプローチしたらこう答えてくれるんだとか、こうするとやりやすそうだな、などがわかるようになってきます。
このアプローチは、普段渡邊さん自身が人と相対するときに相性が良いと感じている方法だという。そこには、5分や10分という単位ではなく、数日もしくは数年単位での「待つ」時間の長さがあるのかもしれない。
ただそのとき、一人の利用者さんとの関係性にだけ集中しすぎると、他の利用者さんと関わることがおろそかになってしまうこともある。一対一で関係性を探ることと、全体を見ることのバランスを大事にしているようだ。
そうやって待っていたからこそ見えたことが、最近もあったと教えてくれた。
渡邊:この間流しそうめんをしたんです。利用者さんの一人におっとりした方がいて、麺を取るのは難しいかなと思っていたら、直前までにこにこしながらしゃべっていたのに、麺が流れた瞬間に“スッ”と、まるでスナイパーのような速さで麺をキャッチしました。最初から「あの人は難しそうだからトング渡しておこう」としないで、どんな様子かなと待っていたから、その素早い動きを見ることができた。
日々の中で、その人らしさが見えたときや、予想と異なることがあったときに「これのために待ってたんだ」と思えるんです。
待つために、観察をする
渡邊さんにお話を伺っていると、「待つ」と「観察する」はセットになっているように感じる。冒頭で萩原さんが教えてくれた利用者が朝きて「やりたいこと」「座りたい場所」を選んでもらう機会も、一人ひとりを知る大切な時間になっているようだ。
渡邊:どの席に座りがちで、どんなルーティンがあるか。例えば画材を持ってきて描き始める人もいれば、ひたすら鉛筆を削り続ける人もいる。描くために削るというよりは、削りたくて削るんだな、ということも、しばらく眺めていてわかったことでした。
そういうのを、じっと見ているというよりは、必要な介助をしながら、ふーっと俯瞰で見ている。なるほど、なるほど、とポイントを抑えるような感じです。
毎日よく見ているからこそ、「この前はこうだったけれど今日はこうだった」「これができるようになった」など、変化に気づくこともできる。また、ルーティンを把握することは、スタッフから利用者へ、アートにまつわる「仕事」をお願いするためにも必要だ。
渡邊:絵のルーティンがしっかり決まっている人もいます。「午前中は学習ノートの表紙に描いてある恐竜の絵を模写する」という人にとって、そのルーティンは絶対なんです。だから何かを頼むときには「午後からやって」とお願いするようにしています。そうすると「いいわよ」ってやってくれるんです。それは一人ひとり違って、いつ頼んでも「いいですよ」ってやってくれる人もいますね。
「いいわよ」「いいですよ」。渡邊さんは身振り手振りを交え、利用者さんの声色を再現しながら、楽しそうに話す。その様子からは利用者さんひとりひとりをよく見ているのが伝わってくる。
待ちやすい環境をつくる「活動を自分で決める」ということ
利用者をよく見て、待つ。当たり前に行っているように感じるが、待てないときはないのだろうか。そう問いかけると「ありますよ」と教えてくれた。
渡邊:販売するグッズを製作しているときに、あまりにもオリジナリティあふれるやり方でしていると、手伝うときもあります。その人にとっては自分で考えたやり方がベストなんだよなと思いながらも、「ちょっとごめんね」と声をかけて。
また、お散歩をしているときに、お花が好きなあまり、知らない人の家の枯れた花や葉っぱを片付けたくなってしまう人がいるのですが、「枯れてるね、でもあなたのおうちじゃないね」と別の場所へ誘導します。そういうときは待っていられないですね。
その他にも公共の交通手段に間に合わないから、と急かさざるを得ない場面もあるという。製品を販売して手に取る誰か、お散歩中に出会う知らない人の家。アール・ド・ヴィーヴルの空間から外に出て、社会と対峙したときに、待てない状況は発生するようだ。
渡邊:(アール・ド・ヴィーヴルの)カフェの中だったらお客様も温かく見守ってくださるので、すごくゆっくりゆっくりお水を持ってきても大丈夫なんです。本人たちのペースで過ごせるここでは待てるんですけど、社会に合わせると待てない状況が生まれますね。
「これをしなきゃいけない」という決められた何かがあることや、時間に追われている、などの外側の条件。それらによって、自分のペースや一緒にいる誰かのペースを守ることが難しくなるのかもしれない。そう考えると、待ちやすい環境をつくることも重要だろう。
渡邊:活動がかっちり決まっていないということは、待ちやすいポイントだと思います。その人が今日やる活動を自分で決めるということ。一応全体としては、グッズを作るなど、やらないといけない作業はあるけれど、やるかどうかは利用者さんが決めることができますね。
アトリエだけでなく、カフェにおいてもそれは同様だ。ケーキを作る、給食を作るという仕事はあるけれど、やりたいときは手伝ったらいいし、やりたくなければ、その日は自分のペースで制作や自己表現をすることができるのだという。
渡邊:「あなたは今日できそう? できる? じゃあお願い」というやり取りを日々しているから、待てるのだと思います。
スタッフも利用者に待たれている
活動をする人が、自分自身でやることを決められる環境であること。それに加えて、仕事を頼むときには、相手のペースを把握し、時間がかかる利用者さんには納期に余裕を持って頼むなどの工夫もしている。
渡邊:頼んだ後で利用者さんから、「頼まれたもの、こういうふうにこだわりたいけど、いつまででしたっけ」と確認してくれることもあります。自分のやりたいところまでちゃんとやらせてくれるというのは、たぶん思ってくれているように感じます。
「この人は頼んだ仕事を時間がかかってもやってくれる」と思うこと、「この人は納得のいくまでやらせてくれる」と思うこと。待つことは、お互いを信頼することでもあるのかもしれない。
「利用者さんも渡邊さんを待っている部分がありますよね」。アール・ド・ヴィーヴルの理事で、広報を担当する牛山惠子さんはそう話す。
例えば発語の難しい利用者さんが何かを伝えようとしたときのこと。渡邊さんは、相手の目線の動きなどを読み取り、「こういうこと?……違う」「こっち?……じゃないか」と感じたことを言葉にしながらコミュニケーションを続け、理解しようとしていた。
牛山:渡邊さんが理解しようと本当に思っているのが伝わるから、利用者さんも渡邊さんがわかるまで待っている。理解してくれるまで、諦めずに一生懸命根気強く説明する。それは、ちゃんとその意味にたどりついてくれるって信じられているからですよね。
問いかけを続けるうちに、利用者さんからは「さっきのは惜しい」という表情が出てくる。その表情を手がかりに、渡邊さんは「これだ」という答えにたどりつく。
渡邊:そうして伝わると、利用者さんは本当に嬉しそうにしてくれるんです。車椅子をガタンガタンと揺らして喜んでくれました。
この人は伝わるまで聞いてくれる、伝わるまで待とう。「待つ」は一方通行だと思っていたけれど、もしかしたら双方向だったのかもしれない。
「あなたに興味があるよ」を表現する
「待つ」には、さまざまな形がある。渡邊さんのお話を聞いていると、そのことを痛感する。
渡邊:例えば自閉スペクトラム症のある方で、なかなか自分から発信することがなかった方がいました。その方に対して私は、自分からぐいぐい話しかけにいくようにしていたんです。
そのときは「うんうん」と答えているだけだったのですが、しばらくして私のところへ来て、「困っちゃった」と言いに来てくれたときに「よっしゃ」という気持ちになりました。それはこちらから働きかけずに待ち続けていても、起こらなかったことだと思います。
他にも、ある利用者さんが家族と関わるのを見る中でスキンシップが好きだとわかり、その関わり方を参考にしながら、スキンシップを取るようにしてみた。それによって、以前より話しかけてくれることが増えたという。
渡邊:待つけど、関係性はつくりたいなと思っています。「あなたに興味があるよ」というのも私も表現する。そのうえで、マッチポイントは待つというイメージです。
牛山:自分に関心があって、見守ってくれているのが、一番安心できますよね。
「あなたのことを見ている」と伝えるときは伝えて、少し離れて見守る。「関係性をつくるには、押して引いての繰り返しかもしれない」と渡邊さんは話す。
そのうえで、ときには「スタッフだからちゃんとしなければ」という観念を少し手放して、利用者さんに対して困っていることをそのまま伝えることもある。そうすると、「しょうがないなあ」と利用者さんが仕事を頼まれてくれたり、手を差し伸べてくれたりすることもあるそうだ。
牛山:やっぱり個と個だと思います。社会が先にあるわけではなくて、個と個で社会はできているから。この人が困ってそうだから引き受けるという、個と個の関係性が前提にありますよね。
その人から出てきたものだけが面白い
「待つ」を巡って話しながらも、渡邊さんは利用者さんに関するエピソードを、次から次へと思い出しては、身振り手振りを交えて楽しそうに話す。何より利用者さんと共に過ごすことを面白がっているようだ。
牛山:渡邊さんは楽しんでいるし、面白いし、みんなも渡邊さんがいると安心するんですよ。自分たちをすごく大切に思っている、心から面白がっている。そういう人がいる場って、やっぱりすごくいいですよね。
そう話す牛山さんは、「待つ」をどのように捉えているのだろう。
牛山:アール・ド・ヴィーヴルのスタッフはみんな、アートディレクターの中津川浩章さんから「その人の中から出てきたものをなにより大切に」という姿勢を学んできたのだと思います。安心して、自分がしたいことを表に出せるように声がけをして、それ以上のことはできる限りやらない。
その人の中にやりたい気持ちが醸成されるのを待つ姿勢は、代表の萩原さんも通底していて、その主軸がブレないこの場には、信頼感と安心感があります。
そうした「待つ」が許されない状況が社会の中にあることに牛山さん自身も違和感を覚えてきたひとりだ。
牛山:一人ひとりのテンポを受け入れず、組織の都合に合わなければ排除されてしまう、そんな世の中に対する違和感を「怒りのメッセージ」として伝えるのではなく、理想とする場を作って、施設での実践によってみせるのがアール・ド・ヴィーヴル流です。しなやかで明るく温かいその営みにすごく共感するから、こういう実践をしている場があるんだよ、と伝えていきたくて、私は「広報担当」という形で関わらせてもらっているんです。
作品や営みを、直接だれかの心に届けたいと願うことは、見てくださる方のいる社会を「よきもの」と信じる。そして変化を待つ、みたいなことでもあります。
お互いに大事だと思える場
アール・ド・ヴィーヴルでは魅力的な表現、作品が日々生まれている。一方で、魅力的な作品を生み出す人がそばにいるからこそ、比較して落ち込んでしまう人もいるだろう。
渡邊:利用者の中には、みんなと違うことや、自分が誰かよりできていないということに気づきやすい方もいます。どんどん描けるようになるパターンもあれば、上手な人がいっぱいいるから自分なんて、となってしまう人もいて。「あなたはあなたでいいんだよ」「あなたのその絵が素晴らしいんだよ」ということは伝えていますが、難しいこともありますね。
アール・ド・ヴィーヴルはカフェがあるため、お菓子や給食を作るなど、アートの創作とは違うの関わり方もある。実際に、カフェでのお菓子づくりを通して自信を取り戻したり、一般就労へつながった例もあったそうだ。
アール・ド・ヴィーヴルで作成している名刺「つながるカード」ではなるべく多くの作家の作品を採用するようにしている。また、「推し活」をテーマにした展示も実施した。多様な作家が参加できる機会をつくることも、それぞれの作品づくりを応援する後押しになっている。
渡邊:なるべくチャンスを増やしたいということと、「いろんな人がいろんな作風でやっていること、見ているからね」というメッセージを利用者さんに伝えたいという思いがあります。
アール・ド・ヴィーヴルに通う人の中には、生きづらさを感じたり、つらい経験をしてきたりする人もたくさんいます。だから今こそね、輝いてほしいです。
引きこもり状態にあったけれど、アール・ド・ヴィーヴルに通うことで、絵を通じた友達ができたという利用者もいる。この場所が、お互いを大事にできる場にもなっているのだろう。
牛山:利用者さんにとっても、渡邊さんが大事だから困っているときは手伝うしね。
渡邊:最近「大丈夫? できる?」って利用者さんに心配されることもあって。あんまり頼りない感じになっても違うと思うので、そこは塩梅をみつつ、いたいですね(笑)。
「待つ」を大切にするには
「支援員は〈待つ〉のプロフェッショナル」という言葉を頼りに訪ねたアール・ド・ヴィーヴル。「自分らしく生きる」ことを中心に据えたその場所では、待つこと、ひとりひとりのペースや「やりたい」という気持ちを尊重することが、徹底的に大切にされているように感じた。
渡邊さんと牛山さんのお話を通じて、私が気付かされたのは、待つことは一方通行ではなく、双方向だということ。「待つ」を考えるとき、自分が「待つ」の主体で、相手を待てるか、待てないか、を判断していると思っていた。しかし支援員である渡邊さんも利用者さんに「待たれている」ように、相手を待つから待ってもらうことができる、待ってもらっているから待つことができる、「待つ」と「待たれる」は双方向の関係なのだ。
また、「待つ」ことはその瞬間に起きているかのように感じていたが、「待つ」ことができる状況の土台には、場に対して安心できることや、個と個の信頼関係の積み重ねがあることもわかった。
待てないということは、もしかしたらその場所やそこにいる人に対して、安心を積み重ねることができていないのかもしれない。誰かを待つことは、何か手を出したくなってしまう、次へ次へと進めたくなってしまう自分を待つことでもある。
とはいえ、安心と信頼を積み重ねていくのには、時間がかかる。安心できていない自分を受け入れながら、よく見ること、関心を持つこと、状況に身を委ねてみること。アール・ド・ヴィーヴルにいる人たちのまなざしを思い出して、私も、私を待ってみたい。
Profile
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アール・ド・ヴィーヴル
社会福祉法人
障害がある人たちが得意なことを仕事にし、地域で豊かに暮らせることを願って、アート活動を中心にさまざまなチャレンジができる場を提供する社会福祉法人。
メンバーたちは、創作活動を中心に、カフェ、ギャラリー、作品リース展示、オリジナルグッズ製作、畑作業など、それぞれが自分の仕事を選択して日々を過ごす。
2013年、美術家・アートディレクター中津川浩章氏との出会いを契機に、NPO法人アール・ド・ヴィーヴル設立。2016年、障害福祉事業所を開設、アート活動を仕事にする事業を開始。2021年、ギャラリー・カフェを併設した事業所(生活介護・就労継続B型)を開所し現在に至る。
- ライター:福井尚子
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アート、表現、書籍、暮らし、食、教育などに興味関心を広げながら、執筆や編集をしています。神奈川県二宮町を拠点に、本を紹介する活動や絵本を用いた語り劇がライフワークです。
この記事の連載Series
連載:こここ訪問記
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