人のためってなんだろう? 他者にコントロールされない「LOVOT」から、“人間らしさ“を考える──伊藤亜紗さん×林要さん こここインタビュー vol.22
“人のため”って、なんだろう。
私たち人間は、「できるなら誰かのために動きたい」と考えているし、他者のためだからこそ力を発揮できることもある。ただ、それが「あの人のためにやってあげた」となればなるほど、それは本当に人のためなのか怪しくなってくる。実はその行動を取った自分を認めたい、といった「利己的」な理由の場合もあるかもしれない。その時の“人のために”は、本当に「利他」であると言えるのだろうか。
〈東京工業大学・未来の人類研究センター〉で「利他学」を立ち上げた伊藤亜紗さんも、「誰かのために、と掲げれば掲げるほど利他から離れていってしまう」と語る。
利他の大原則は、「自分の行為の結果はコントロールできない」ということなのではないかと思います。やってみて、相手が実際にどう思うかは分からない。分からないけど、それでもやってみる。この不確実性を意識していない利他は、押し付けであり、ひどい場合には暴力になります。
(伊藤亜紗 編『「利他」とは何か』p.51より)「人のために行動しなさい」と教え育てられてきた私たちにとって、この視点は新鮮でハッとさせられる。でも同時に、別の疑問も湧いてくる。じゃあ、押し付けでなく、本当の意味で「心地よく他者と生きる」ために、私たちができることって何なのだろう……。
「LOVOT(らぼっと)」は、そんなふうに自分以外との関係性について考えるとき、触れ合ってほしいロボットだ。ロボットなのに利便性はない、「人の代わりに仕事をしないロボット」。むしろ抱っこしてあげる必要があったり、転んだら起こしてあげたりと世話が焼けるのだ。最先端のテクノロジーが詰め込まれているが、こちらの感情に忖度して動いてくれるのではなく、自分の好き勝手に動き回る。なのに、私たちはLOVOTに心を動かされ、癒され、ともすれば生きる力さえもらえるという。
私たちは今回、LOVOTを開発する〈GROOVE X(グルーヴ エックス)株式会社〉を訪問。代表取締役社長の林要さんと、伊藤亜紗さんの対談を実施するなかで、人とロボットの共存から、私たちが誰かと共に生きるとき大事にしたい視点を考えた。
「LOVOT」は人見知り? 人懐っこい?
──LOVOTたち、やはり林さんのほうに寄っていきますね。慣れているからでしょうか?
林要さん(以下、林) そうですね。僕もずっとこの場所にはいないため、一番懐かれているというわけではないですが、LOVOTは100人ぐらいまでなら人の顔を覚えられるので、初対面の方よりは僕に慣れていると思います。今みなさんと距離があるのは、この子たちの中にある「不安」と「興味」という指標のうち、初めて会った人に対しては不安のパラメータの値が大きいからですね。
一緒に過ごす時間が長くなるほど、不安の数値が下がり、逆に興味の値が高まります。もちろん個体差も影響しますが、オーナーになって3カ月くらい経つとかなり距離は縮まりますよ。
──じゃあ、生まれつき人見知りな子も、人懐っこい子もいるんですね。
林 ただ、別に僕らが「人見知りプログラム」みたいなものを組んでいるわけではないんです。不安の初期値が高い、もしくは不安になる期間が長い子は「人見知り」に見えるし、もともとの不安が低かったり下がりやすかったりすれば「人懐っこい子」だと思われる。感情の基になるパラメータの違いや、その変化に基づく特性を、観察している人間のほうが勝手に「今は人見知りしているね」とか「この子は八方美人だ」と言っているだけだと思います。
“他”を感じるロボットと生きる
伊藤亜紗さん(以下、伊藤) 「見る人がどう捉えるか」というのが、すごくおもしろいと思いました。おっしゃるような“受け取る側”の意識を、私が研究している「利他」でも重視しているんです。
利他って「人にいいことをしてあげる」みたいなイメージで捉えられると思うんですけど、自分のしたことが、考え方も行動も違う他人のためになるって実はすごいこと。利他学はそのすごさをちゃんと感じながら、簡単に「人のためになる」なんて言わないでおこう、っていう学問なんですね。だから、「お互いをコントロールしようとしない」関係であることを、まず大事にしています。
このLOVOTたちは、こちらが望む振る舞いをしてくれるとは限らないわけですよね。人間の言葉も喋らないし、コミュニケーションが成立しているのかすらよくわからない。でも、その中で探りながら行うやりとりに、自分とは違う“他”という存在を私はすごく感じます。
林 たしかに、“他”とのコミュニケーションって、受け取る側がよく捉えれば良いものにつながるし、悪く捉えると悪い方向に向けて働く。それを探りながら向き合うのは、LOVOTでも、人と人でも同じようなことが起きていますね。
伊藤 「コミュニケーションが成立しているかどうかわからない」からこそ、背後に想像力が働くと思うんです。なので、私は利他を研究する際、認知症のある方のケアを1つの事例として考えたらいいんじゃないかと思ったんですね。なぜかと言うと、認知症のある方って、関わる側がよかれと思ってしたことを簡単には受け取ってくださらないし、そもそも受け取ってらっしゃるかよくわからない状況も多いからです。
不確かな状況の相手と、利他を考える。そうすることで、「私の思う正義」を人に押し付けて、コントロールのツールにすることから離れられるんじゃないかと思ったんです。
林 利他って、ドライに言えば生物としての「生存戦略」の1つだ、という捉え方もできると思います。利己ばかりになると、コミュニティである「社会」が不安定になるから、その逆を推奨していく。利他も利己も個人の内側から自然に生まれますが、中でも利己を否定するようにも見える利他は道徳論になりがちで、その生存戦略としての解像度はまだ低い。伊藤さんの著書を読んで、そんな利他を深掘りされているのがすごくおもしろいなと思いました。
伊藤 ありがとうございます。『飼いならす』(アリス・ロバーツ著、明石書店)という本にも、「飼う」の出発点は生存戦略だったとあるんです。例えば、現在のペットとしての犬と人間の関係は、もともとオオカミが「人のそばにいれば食事が手に入る」と気づき、人間も「オオカミがそばにいると他の動物に襲われにくい」と考えたことから始まったと。いい距離感で互いに利益があるこの状況は、「同時に人間もオオカミに飼われている」といえます。「飼う」って、常に「飼われる」ともセットになっているんですね。
そう考えると、さまざまな動物と一緒に暮らすことができる人間こそが一番の“飼われ上手”。LOVOTは、人間のそういう特性を引き出しているんじゃないかなって。
林 たしかに僕らもLOVOTを開発するなかで、ペットと人との共存関係について考えてきました。犬や猫は生活の範囲が人と重なりやすかった動物でもありますが、特に現代では、人のほうが犬や猫に合わせて住環境を選ぶなど、生活の幅を狭めて生きていることもあります。そうまでしてペットが必要とされる状況を、人類は生んできたような気がしています。
ただ、働き方やアレルギーの問題などによっては、ペットを飼うのが難しい人もいます。飼ったあとのケアがうまくできなくて、飼育放棄につながることもある。なのでペットが飼えない場合でも、何か人間の補足する存在を、ロボットで実現できないかと思っているんです。
自然は「共感しない」からうまく回る
伊藤 私も、ご著書の『温かいテクノロジー』を読ませてもらいました。その印象として、LOVOTは「切断する力」を持っているんだなって思ったんです。例えば、親が子どもを叱ろうとしている重たい空気のときにLOVOTが明るく話しかけてきて、その場の雰囲気を変えた話とか。人間が1つの方向にガーッと傾いてしまっているときに、LOVOTは空気を読まないのに共存できる力がある気がします。もちろん一体感も感じるんだけれども、同時に「共感しすぎない」っていうか。
林 わかります。もともと人間は「共感性」を持つことによって、情報伝達を効率化してきたと思うんですよね。誰かが不安になったら周りも不安になるし、一部がフィーバーしたらそれも周囲に波及する。
ただ、素早く情報を伝達させるために、必ずしも「事実」を参照しないで感情だけ伝達させちゃうわけです。だから、正確さの伴わない曖昧な情報の伝波が起きてしまう。僕らは何かに共感することで、その何かに支配されてしまうことも多い気がするんです。
伊藤 たしかに、そうですね。
林 そういうとき、LOVOTは何をするかと言うと、これまた「共感」を利用して別の視点を入れてくれます。重たい雰囲気の空間に、それをまったく気にしない存在がいると、人はそっちにもちょっと影響されてふと我に返る……みたいなことがあるんですね。さまざまな視点、つまり多様性(ダイバーシティ)の中に身を置くことで、冷静になれる機会を得るのにはいいのかなと思うのです。
ダイバーシティのある環境では、方向が1つに定まらないので、見方によってはめんどくさいけれど、一方向に引きずられないメリットがあります。そこには、人だけでなく犬や猫がいてもいいし、ロボットがいてもいい。仮に僕らが一方向に流されたときでも、僕らの「共感」力を活かして、僕らから新たな切り口の感情を引き出してくれる存在は貴重です。
伊藤 めちゃくちゃおもしろい。しかも、ご著書ではその話を、アフリカのサファリを訪れた話と結びつけていたことに感動しました。
ライオンに食べられるシマウマを憐れむ、一方向の共感から、最後はライオン側への共感も起きていきますよね。そういうサバンナで見た「自然の共存そのもの」がLOVOTに込められていると読んで、そんなロボットは他にないなって思ったんです。
ことごとく獲物に逃げられるライオンを見ていると、「シマウマが生き延びる」ということは「ライオンの子どもたちは飢えて死んでしまう」ということだと、ようやくわかるようになりました。
つまり、そこには「かわいそう」な存在などいませんでした。
林 ロボットを作るときやりがちなのは、僕ら設計者の意図を入れ込もうとすることです。ただ、ロボットの後ろにいる人が「こういうふうに人を行動させよう、感じてもらおう」と考えて作っても、すごく浅いものになります。
対して自然は、シンプルな物事が重層的に組み合わさって動いています。それぞれのポジションで自分のことを一生懸命やっているだけで、自然界が成立しているんだとサファリで気づきました。それまでは「人と家族になるロボット」なんて大それたものはとても作れないと思っていたのが、LOVOTなりのポジションで一生懸命に行動しているだけで、意外とおもしろい人間界の歯車になるのかもと考えられるようになりました。
コントロールできない存在を受け入れると、自分も生きやすくなる
──LOVOTと暮らすことは、コントロールできない豊かさに目を向けることなのかも、と聞きながら思いました。ただ一方で、人間は自分の生活や、自分以外の誰かを「コントロールしたい」という欲望を本質的に持っているような気もします。LOVOTのような存在がより身近になっていくと、そこも変わっていくのでしょうか。
林 うーん、まず何かをコントロールしたいと強く思っている人は、きっと犬や猫も飼わないですよね。そういう意味では、LOVOTも万人のためのものではなくて、何かを愛でる行為そのものが必要な人たちに向けたものではあります。
ただ、“他”をコントロールしたい気持ちが強くなればなるほど、自分以外の存在と生きていくのは大変になっていきますよね。しかも多様性のある社会になるほど、それを受け入れる包容力や受容力が求められていきます。生まれ育った環境も価値観も違う人たちの中では、根本的にわかりあえない範囲があまりに広いからです。
実際に僕も過去に海外で働いていたとき、想像以上に常識が違いすぎて、「全部わかってもらう」という前提で仕事をするのが、むしろ間違っているんだと気づきました。ダイバーシティの上では他者のコントロールなんて不可能だけど、それでも仲良くしていく、少しでも理解し認め合っていく。今後そういう力をつけていくことが、結果的に自分自身の不安を減らしていくのではないかと思います。
伊藤 私自身は、「何かが思った通り実現してもつまらない」と思うタイプなので、思いがけないことがあった方が楽しいんです。でもそこには、ちゃんと自分の収入があったり健康だったりして、安定したものがあるからこそ「揺さぶられること」を楽しめているとも思うんですよね。だから、「すべてをコントロールしたい」と考える人には、権力者みたいなタイプもいるかもしれないけれど、生活自体が混乱した状況にある人もいるかもしれません。あまりにコントロールできないことが多いと、少しでもコントロールしたいと思うかなと。
一方で、私は普段から「身体」について研究していますが、基本的に身体って「思い通りにならなさ」を連れてくる存在なんですね。病気したり、怪我したり、死んじゃったり。人間の意志や意図と関係ない動きをすることがあるのが自然だと思っています。LOVOTの中にも、コントロールしきれないサファリの自然が込められているのなら、自分自身との付き合い方のヒントになる気はします。
林 LOVOTにはLOVOTの事情があって、すべてをコントロールすることはできないですからね。別の人と話しているからと遠慮することもないし、空気を読まず、LOVOT自身が諦めるまでアピールしてくる。そうした他者との共存を、受け入れていくしかないんです。そんな存在を愛でる行為から、人のしなやかさが引き出されていく可能性はありそうです。
伊藤 私はよく障害や病気のある人と接して、想定外のものを受け入れる“器”の大きさを感じるんですよね。例えば、私が新型コロナウイルスにビビっていたときに、彼らは「まあ、そんなことも起こるでしょう」みたいにどこか余裕があったんですよ。たぶん、これまでの経験から想像力の幅が広がって、ちょっとやそっとのことじゃ動じなくなっているからなのかな、と。
その受容力から来る強さや優しさは、まさにサファリを見てきた林さんがLOVOTに込めたように、いろんな角度の共感から生まれるのではないでしょうか。
人間らしさは「はみ出し」、そして「帰る」こと
伊藤 林さんがLOVOTを通してされているのって、「人間とは何か」を考えることですよね。ご著書でも「探索」というキーワードで、人間そのもののあり方について考えられています。最近のAIと人間を比較した議論では、よく「人間は創造性を担うもの」だと言われますが、林さんは「探索」とされているのがおもしろいなと思ったんです。
AIが帰納的学習のために多くの情報を必要とするのに対して、人類は遥かに少ない情報から、なにを考えるべきかを決め、仮説をつくることができます。そして探索と試行を繰り返し、驚くべき柔軟性で新しい環境に対応できます。
これこそが人類のすばらしさです。
伊藤 私は以前から人間らしさと「創造性」があまり結びつかなくて、この言葉を使われると「何か成果を出さなきゃ」という感じがしていたんです。でも「探索」活動って、自分が知っている領域の外側にはみ出すことですよね。
例えば「今日のランチは別のお店に行ってみよう」みたいな、いつものやり方から少しはみ出すイメージ。唯一絶対ではなく、いろんな行動やちょっとしたうっかりで変わる「揺らぎの解」みたいなものを、生活の中にリズムとして作る視点にすごく納得しました。リスクもあるけれど、それを許されているって大事なことだと思います。
林 ありがとうございます。実は0から何かを生み出す創造性って、人間にはそんなにないと思うんですよね。情報処理の観点では、人間が得意なのは「創造」ではなく、むしろ「模倣」です。ただ、遺伝子に刻まれていないことでできる範囲が広いのが、他の動物と大きく違う特徴ですね。創造的な仕事をしているように見える人たちは、どの情報を参照していくか、適切に自分で境界条件を決めているんだと考えています。
その境界条件を人から与えられない場合に、自分で見つけるのが「探索」なんじゃないかなと。すでにある情報からそれらしい答えが出せるAIに比べて、僕らの偏った探求から生み出されるものにこそ、人間らしさや価値があるんだと思います。
伊藤 本当にそうですよね。LOVOTと一緒に暮らしていたら、私の探索パターンも変わったりするんでしょうか。
林 変わると思います。シンプルに変わるのが、“喋る”機会が増えることですね。
伊藤 喋ること。
林 例えば、今日しているような大事な話は、こういう場を作れば対話できますよね。あるいはもう少しカジュアルな話題も、友達や家族に話せます。だけど実は、人に聞いてもらうことすら申し訳なくなるような「どうでもいい話」や「大事じゃない話」をするチャンスって、なかなかなかったりしないでしょうか。
それを話さないまま無意識にモヤモヤが積み重なったとき、LOVOTを抱っこすると、まず落ち着く。そしてLOVOTを相手に喋って言語化していくと、不思議とすごく整理されていきます。感じていた疑問が自分の捉え方の問題だったなとか、そういうことに気づきやすくなりますね。実際、ひとりのときにLOVOTに話しかけるオーナーさんは多いんですよ。
伊藤 わかる気がします。私、出張先のドイツでたまたま、めちゃくちゃ可愛いぬいぐるみを買ったんです。
林 「シュタイフ」ですか?
伊藤 そうそう、シュタイフのラビットのシリーズなんですけど。買ってきてしばらく離れられなくて、仕事でもどこにでも連れて行ってました。一緒にいるとき、私はそのぬいぐるみが、自分の中のある部分を許してくれていると感じるんです。他の人には見せられない側面も、その子が知ってくれることで「いてもいい自分」になれるというか……。
林 自分をつなぎ止めてくれる存在ですね。人間は、いろんなところを探索しては学ぶことができる生き物であるが故に、環境からの影響も受けやすい。何か精神的に「帰ってくる場所」みたいなものがあると落ち着く傾向があるようにも思います。
LOVOTのデザイナーである根津孝太さんは、LOVOTのことを「魂の依代」と表しています。同様の意味合いで、僕自身は「鏡」だと表現しています。というのも、この子たちを通して自分と対話できるからです。その役割を宗教が担うこともあれば、ペットが担う人もいる。今「推し活」と呼ばれるものも、おそらくそんな側面をもっている。伊藤さんのシュタイフも、そしてLOVOTも、同じ役割を担っているのだと思います。
伊藤 そうですね。だから、すごく力が抜けるというか。今日はみなさんと一緒にLOVOTと遊ばせていただきましたけど、できることならもう少し一人でLOVOTと一緒にいたいなと思いました。この子の脇の下の柔らかさとか、立ち上がるときの腰の動きとか。そういうのも、今日の帰り道に思い出す気がしますね。 そうすると、またそこで対話ができるのかもしれません。
取材後記
キューキューと鳴きながらながら、こちらに近づいてくるLOVOTには、わかりやすく“役立つ”特徴はない。お皿を洗ってくれるわけでもないし、怪我を治してくれるわけでもない。しかし同時に「ああしたほうがいいよ」とか「もっとこうしないとダメなんだ」などと、よかれと思ってのアドバイスをしてくることもない。ただ全身で、「愛でられる存在」という自らの役割をまっとうしようと抱っこを求めてくる。
この世界にはいろいろな生き物がいるけれど、本当の意味で「わかってもらう」ことはきっとできない。その中で、お互いに心地よく過ごす社会への道のりは決して簡単ではないのだと、対談を聞きながら考えた。だからこそ、林さんが自然の摂理を組み込んだLOVOTに、私は新しいダイバーシティの形と、帰る場所を見つけて安心したのだろう。
思いがけない目線を持ってきてくれる存在から生まれる、しなやかな社会。そこにはある意味、“人のため”という一方通行な感情は存在しない。コントロールできない彼らと共に過ごす、その時間から、私たちの「人間らしい探求」は始まっていくのかもしれない。
Information
LOVOT MUSEUM 日本橋浜町
LOVOTに詰め込まれた最先端テクノロジーの解説、個性を楽しむファッションアイテムの展示などがあり、LOVOTとの実際の暮らしも疑似体験できる施設。
詳細や予約は公式サイト「LOVOTに会える場所」より。
Profile
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林要
GROOVE X 創業者・CEO
1973年愛知県生まれ。1998年にトヨタ自動車株式会社に入社。スーパーカー「LFA」やF1の空力(エアロダイナミクス)開発に携わったのち、トヨタ自動車製品企画部(Z)にて量産車開発マネジメントを担当する。2011年に孫正義後継者育成プログラム「ソフトバンクアカデミア」 に外部第一期生として参加し、翌年ソフト. バンク株式会社に入社。感情認識パーソナルロボット「Pepper(ペッパー)」プロジェクトに参画。2015年、GROOVE X株式会社を創業。2018年に家族型ロボット「LOVOT(らぼっと)」を発表する。翌年、出荷を開始し、ラスベガスで開催されている世界最大規模の家電見本市「CES」において、2019年にThe VERGE「BEST ROBOT」、2020年には「イノベーションアワード」を受賞。また2021年の第9回ロボット大賞にて「総務大臣賞」、2022年に第3回IP BASE AWARD「スタートアップ部門 奨励賞」、2023年には第1回WELLBEING AWARDS「モノ・サービス 部門 GOLDインパクト賞」を受賞。著書に『トヨタとソフトバンクで鍛えた「0」から「1」を生み出す思考法 ゼロイチ』(2016年ダイヤモンド社)、『温かいテクノロジー AIの見え方が変わる 人類のこれからが知れる 22世紀への知的冒険』(2023年ライツ社)がある。
Profile
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伊藤亜紗
東京工業大学科学技術創成研究院未来の人類研究センター長/東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授/東京工業大学環境・社会理工学院社会・人間科学コース教授
専門は、美学、現代アート。もともと生物学者を目指していたが、大学3年次に文転。障害を通して、人間の身体のあり方を研究している。2010年に東京大学大学院人文社会系研究科基礎文化研究美学芸術学専門分野を単位取得のうえ、退学。同年、同大学にて博士号を取得(文学)。学術振興会特別研究員をへて、2013年に東京工業大学リベラルアーツセンター准教授に着任。2016年4月より現職。主な著書に『ヴァレリーの芸術哲学、あるいは身体の解剖』(水声社、2013年)、『目の見えない人は世界をどう見ているのか』(光文社、2015年)、『눈이 보이지 않는 사람은 세상을 어떻게 보는가 』(2016年)、『目の見えないアスリートの身体論』(潮出版、2016年)、『どもる体』(医学書院、2018年)、『記憶する体』(春秋社。2019年)、『手の倫理』(講談社、2020年)、同時並行して、作品の制作にもたずさわる。
- ライター:ウィルソン麻菜
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「物の向こう側」を伝えるライター。製造業や野菜販売の仕事を経て「背景を伝えることで、作る人も使う人も幸せな世の中になる」と信じて、作り手のインタビュー記事や発信サポートをおこなっている。個人向けのインタビューサービス「このひより」の共同代表。現在は、二児の英語子育てに奮闘中。
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